指揮 下野竜也
コダーイ 夏の夕べ
グリーク ホルベルク組曲
本当にいかにも下野さんらしい選曲だよな。掘り出し物プログラム。
こういうプログラムであっても、お客さんが結構入っているのはすごい。平日の文化会館なのに。裾野の広い都響ファンあるいは下野さんの個人的人気が支えているのか、堅実な営業成果なのか、それとも珍しいプログラムに吸い寄せられているのか・・・。
実は私も大学時代、この曲を演奏したことがある。なので、とても懐かしい感じがした。
ただし、そう感じたのは自分の経験だけではなさそう。この作品自体が郷愁を感じさせる魅力を帯びている。思わず目をつぶってのどかな田舎の光景、そこに住む人たちの優しい人柄などを想像してしまう、そんな曲だ。
そうしたことを考えていて、ふと気がついた。この日のプログラムは、そうした郷愁を誘うローカル色が打ち出されているのではないか、それが選曲の狙いではないか、と。曲を聴きながらふと思い出にふけ、彼の地に思いを馳せる、そんな気分になったお客さんが少しでもいたのなら、コンサートの目的は達成したのではないだろうか。
メインのドヴォは、この曲だけでなくドヴォ自体が私の苦手とするところなのだが、演奏そのものをとても楽しめた。都響は依然として好調だし、下野さんのタクトも堅実。とても良かった。