クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

兵士たち(軍人たち)

 何をもって現代音楽と定義するのかは自分にはよく分からないし、人によっても捉え方が違うかもしれないが、私にとってB・A・ツィンマーマンは、十分に現代音楽である。
 で、既に何度も言及しているとおり現代音楽が苦手な私にとっては、ツィンマーマンは容易に乗り越えることが出来ない壁であり、なるべくなら避けて通りたい腫れ物のような作曲家である。
 
 だがそんな私でも、「是非とも鑑賞したい」という強い衝動に駆られる作品がある。おそらく彼の作品の中では最も有名な、歌劇「兵士たち(軍人たち)」だ。
 
 なかなかその良さが理解できない現代音楽だが、少しでも光明を見出だせる可能性が存在するとしたら、それはオペラにあると思っている。
 なぜならオペラにはストーリーがあり、台詞がある。物語の起伏があり、感情の起伏がある。それらを音楽が語ってくれる。このため理解しやすく、心に響くのだ。
 
 ヴォツェックやルルもそうだが、この兵士たちも、転落し破滅していく人間が主人公。運命に翻弄され、時代の犠牲者となり、もがき、這いつくばる生き様がテーマとなって描かれる。人間関係は破綻し、閉塞したコミュニティの異常さがこれでもかと強調される。
 まさに不協和音がつんざく現代音楽にぴったりではないか!これなら私にも受入れが可能だし、むしろ興味深く、そそられる。
 
 にも関わらず、観賞の機会は日本にいる限り絶望的と言っていい。6年前に故若杉氏の肝煎りによって上演された新国立劇場の公演は、残念ながら鑑賞することが出来なかったが(例によって海外出張)、これを逃したのは痛恨の極みだった。「またやってください、プリーズ」というのは無理な相談なのだ。
 
 実は今、そんな私にチャンスが巡ってきている。今月末、短い休暇を利用してミュンヘンバイエルン州立歌劇場)でこれを鑑賞する予定なのだ。今年5月にプレミエとなり、評判を呼んだクリーゲンブルク演出版。指揮は音楽監督のK・ペトレンコ、主役のマリーは現代音楽が得意なバーバラ・ハンニガンが務める。夏にルツェルンでお目にかかった。
 
 狂気の作品を観賞し、その強烈な音楽を体験することによって、自分自身が一度思い切りぶっ壊れてみたいと思っている。ひょっとすると、自分の殻になっているクラシック音楽の枠組みが外れるかもしれない。もしかしたら、その先に今まで見えなかった何かが見えるかもしれない。そうなればいいなと思っているところだ。
 そういうことで、期待に胸を膨らませていざミュンヘンへGO!!
 
あ、まだ3週間以上も先だった(笑)。
長ぇ~。