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香川のプレミア挑戦は失敗だったのか?

失敗だったと思う。
言うまでもなく。
ただ、プレミエ挑戦失敗ではなく、マンチェスター・ユナイテッドへの挑戦が失敗だったということは言えるかもしれないが。
 
 マスコミ、評論家、一部のスポーツライター、サッカー関係者などから、「十分活躍出来る素地はあったが、たまたま不運だった」とか「能力はあったが、監督のサッカー観と合わなかった」とか、そうした同情的意見も出ているが、甘いと思う。単純に名門マンチェスター・ユナイテッドでやっていく実力レベルになかった。実力があれば不運を打破できるし、監督のサッカー観さえも変えることが出来る。それが出来なかったのはやっぱり実力不足なんだ。(あくまでも「マンチェスターでやっていくには」という意味だからね。)
 
 香川には弱点がある。そのことはみんな何となく分かっているけど、口にするのは御法度だと思っている。
 それは、自分の持ち味に適合するサッカースタイルでしか躍動出来ないということだ。自分が合わせるのではなく、自分に合わせてくれるチームにおいて力を発揮する。従ってサッカーのプレー幅は狭い。ユーティリティプレーヤーではないのだ。たまたまドルトムントではピタリと適合した。香川の持ち味が発揮できるシステムを監督が構築してくれた。
 だが、マン・ユナイテッドは違う。ビッグネームが揃う世界屈指のスター軍団。新米のやり易いようにプレースタイルを合わせてくれるお人好しの選手など存在しない。だからといって、彼には周囲を屈服させるほどのケタ違いの才能もない。
 
日本代表でイマイチ輝けないのも、同様の理由による。
日本代表はこれまでずっと本田のチームだった。決して香川のチームではなかった。
日本が産んだ二人のビッグスター香川と本田をなんとか併用させたいがため、前監督のイタリア人は香川をサイドで起用したが、そんなことをしても何の相乗効果も起こらないのである。
もし香川を活かしたいのなら、香川を活かすためのチーム作りをしなければならないが、はたして今度の新監督はどうだろうか。どうもそんなことをしそうもない人に見えるのだが・・・。
 
 いずれにしても、以上の論点でいけばドルトムント復帰は良かったことだと思う。
 問題は、果たしてすんなりと元の鞘に戻ることが出来るかどうか。二年のブランクは大きい。ドルトムントもその二年の間にかなりの選手が入れ替わっており香川システムを再構築できるかは不明だ。
 
 
 結果を見てしまってからこういうことを言うのは反則かもしれないが、やっぱりあの時ドルトムントを離れるべきではなかった。ウソではなく、当時私は「そのままドルトムントでやっていけばいいのに・・・なぜ?」と心底思った。
 
 私が個人的に気に食わなかったのは、ドルトムントは決してステップアップのための通過点となる中堅チームではないのに、あたかも通過点のようにイングランドに渡ろうとしたこと。
 日本だったら「だってあのユナイテッドから誘われたんだよ!?」と言えばみんな納得するかもしれないが、ドイツ人にしてみれば、「いったいドルトムントで何の不満があるのだ?」だったのではないだろうか。それくらいドルトムントはドイツの強豪であり名門。ファンだけでなくプレーヤーなら誰もがそこでプレーしたいと憧れるチームである。
 ドイツの強豪ということは、すなわち世界の強豪。しかもサポーターの熱狂度はドイツ一。離れるにはあまりにももったいなかった。事実、その直後にドルトムントチャンピオンズリーグの決勝の舞台に立った。香川の活躍次第では、欧州制覇も夢ではなかったのだ。
 

 まあ今さら過去を嘆いていても仕方がない。これから香川の動向を見ていこうではないか。ドイツ人がせっかく諸手を上げて出戻りを歓迎してくれたのだから、その期待にぜひ応えてやってほしい。