クラシック、オペラの粋を極める!

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2014/7/13 新日本フィル

2014年7月13日   新日本フィルハーモニー交響楽団   サントリーホール
ホーカン・ハーデンベルガー(トランペット)
ベートーヴェン  エグモント序曲
ツィンマーマン  トランペット協奏曲「誰も知らない私の悩み」
ベートーヴェン  交響曲第3番 英雄
 
 
 ドイツの現代作曲家ツィンマーマンの作品を、私は一つしか知らない。歌劇「軍人たち(兵士たち)」、これだけだ。彼の作品を他にもいくつも知っている人がいるとしたら、よほど音楽に精通している達人か、もしくはマニアックな現代音楽ファンであるに違いない。
(ブログタイトルに「クラシック音楽を極める!」などと掲げているが、とてもそこまでの域には達しそうにないわなー。)
 
 私にとっては「軍人たち」一つでもう十分お腹いっぱい。これだけ知っていればもういいでしょう?これを知っているだけで十分エライでしょう?
 頼むからそれ以上はご勘弁という感じである。
 だというのに新日本フィルは、メッツマッハーの公演ではツィンマーマンの作品を毎回採り上げていくんだってさ。恐ろしい。
 まあでも、いかにも現代ものが好きなメッツマッハーらしい試みであるが。
 
 そんなわけでトランペット協奏曲。もちろん初聴。ステージにピアノ、電子音楽用のアンプ、サクソフォン5本らがずらっと並ぶ。それだけでなんだかヤバそうな雰囲気である。
 ところが聴いてみると、決して発狂しそうな音楽ではない。事前にM.F.さんや通りすがりのラッパ吹きさんからどんな曲だか教えてもらっていたので、抵抗感が薄れていたのは大きかった。
 それに、私が唯一知っている軍人たちと音楽的に類似性が見つけられたのだ。そういう意味でも面白く聴くことが出来たのである。
 だからと言って、これから気持ちを入れ替えてツィンマーマンの音楽をどんどん聴いていきたいとはやっぱり思わんがな(笑)。
 
 ソリストのハーデンベルガー。やはりこの男、只者ではなかった。驚くほど完璧だ。
 金管というのは不安定な楽器である。皆さんもコンサートに出掛けて、百戦錬磨のプロ奏者がここぞという所でひっくり返るのを聴いて「ガクッ」となった経験が何度もおありでしょう。金管というのはそういう楽器なのである。
 でもハーデンベルガーは違う。彼に限ってそうしたへくりミスを犯すなんてこと、微塵にも想像できない。それは、AKBの渡辺麻友ちゃんがトイレで「ウーン・・」と踏ん張っている姿をまったく想像できないのと一緒だ。
 
(は? 一緒??・・なのか??・・・)
 
・・・えーと、すまん、ハーデンベルガー。
 彼のトランペットの音色は、この楽器にありがちな尖った固さがない。まるで笛のような滑らかさだ。やわらかく、そして美しい。たとえ輝かしく綺羅びやかなハイトーンであっても。
 不気味なツィンマーマンの音楽の中に、神々しいほどの美しさが湛えられていたのは、やはりソリストの技量の賜物だろう。わずか15分ほどの短い曲だったが、とても堪能した。
 
 続いてメインのエロイカ
 いかにもベートーヴェンらしい風格の漂う重厚さとは無縁。快速テンポで飛ばし、きびきびとした、活き活きとした、爽やかなエロイカ
 
ん? ちょっと待て。こんな演奏、以前にもどこかで聴いたことがあるぞ。
同じように活き活きとして、爽やかで・・・それがとても鮮烈だったエロイカを覚えている。
だが、はて、いつの、何の公演だったか・・・肝心なことを忘れてしまった。
あれ~何だったかなー、どこだったかなー? 確か外来オケだったよな?
 
新日本フィルの演奏を聴きながら、私はずっと頭を巡らしていた。だが、結局思い出すことが出来なかった。
自宅に戻り、さっそく調べた。自分のコンサートデータベースを検索し、エロイカを引っ張ってみた。
 
「こ・れ・だ!」
見つかった。
 
2009年3月、ベルリン・ドイツ交響楽団東京オペラシティホール。
指揮は・・・というと・・・メッツマッハー・・・。
 
なんとまあ。
なるほどね、そりゃあどこかで聴いたことがあったわけだ。納得。