クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ホーカン・ハーデンベルガー

 今やすっかり聴く専門だが、高校生まではブラスバンドでトランペットを吹いていた私である。サッカー少年がメッシやC・ロナウドに憧れるのと同様に、埼玉のラッパ小僧も当時の世界的なトランペット奏者に憧れた。モーリス・アンドレ、ティモフェイ・ドクシチェル、ルートヴィヒ・ギュトラー、アドルフ・ハーセスなどといった伝説の奏者たちだ。
 特にトランペットの帝王と言われていたモーリス・アンドレは神と崇めた。彼のレコードを夢中になって聴いたし、女の子と文通するにあたって彼の名前をちゃっかり拝借してペンネームにしたこともあった。いやー恥ずかしい。少しでもあやかりたかったのよ。
 
 今、トランペットを一生懸命練習している若者たちにも、理想として目指し、憧れている奏者がきっといるだろう。そうした彼らに直接尋ねる機会などないが、もし聞いてみたら、結構な高順位で次の名前が挙がるのではあるまいか。
 
ホーカン・ハーデンベルガー。
スウェーデン出身。巷では「彼に吹けない曲はない」と言われているほどのミラクルトランペッターだ。現役の中では世界のトップ奏者の一人であることは間違いない。(人気だけならナカリャコフに負けるかもしれないが。)
 
 彼の演奏を収録したアルバムを聴いてみるがいい。とにかく上手い。ひっくり返るで。澄んだ音色、輝かしい高音、華麗かつ盤石なテクニック。完璧だ。
 
 そのハーデンベルガーがもうすぐ来日する。来月の新日本フィル定期演奏会にコンチェルトのソロ奏者として出演だ。用事が重なって行けないところだったが、幸いその用事がなくなったので、急遽行くことにした。
 前回彼のコンサートに出かけたのは、もう10年以上も前のこと。久しぶりの公演に期待が膨らむが、なんと今回演奏する曲は、ツィンマーマン作曲のコンチェルト・・・。
 
 うっわ~マジか。よりによってツィンマーマンかよ・・・
 曲は知らないが、ツィンマーマンというだけでどういう音楽だか想像がつく。おぞましいほどの不協和音の中、つんざくように突き抜けるトランペットの絶叫。絶対そうだろ。
 
 新日本フィルさんよ。ハーデンベルガーに憧れる全国のラッパ吹きが聴きに来るんだからさあ(ホントか?)、もう少し選曲を何とかならんかったかのう。
 とは言っても、これはあくまでも新日本フィルの自主公演。メッツマッハー肝煎りのプログラムなのだから、仕方がないわけであるが。
 
 こうなったらハーデンベルガーの圧倒的なテクニックで、演奏が曲を思い切り凌駕しちゃってほしい。私も久しぶりにラッパ小僧の血が騒ぐのだ。驚異の演奏を聞いて「うめー、うめー、こりゃすげえ。」と唸ってみたいのだ。どうか頼みまっせ。