クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

年末年始旅行

年末年始、また海外に出掛けることにした。カレンダーにうまく恵まれて例年よりも少し休みが長いので、このチャンスを逃す手はないと思い、決断した。来週木曜日、通常出勤後の夜に羽田から出発する。
 
 せっかく海外に行くわけだ。日本ではなかなかお目にかかれない作品とか、個人的に好きな作品などを是非観たいと思う。
 ところがこの時期のヨーロッパはどこに行っても「こうもり」など毎年恒例の演目が並び、実はマニアにとって必ずしも良い期間とは言えない。
 それでも「どこかで面白い物をやっていないか」とあちこち色々と探していくと、それなりの物は見つかる。
 しかし、そうした面白い物だけをむやみやたらに追いかければ、当然のことながら移動また移動のパターンになってしまう。そこが悩ましいところではある。
 
 今回は9日間(実質現地滞在7日)で4か国6都市。ほぼ連日移動という慌ただしい計画になってしまった。(まったくオレらしい旅行だよなー。)
 ただ、1回あたりの移動時間はだいたい3時間程度なので、自分的にはそれほど無理がないと思っている。
 確かに観光時間はおのずと限られてしまうが、過去に訪れたことがある都市ばかりだし、そもそも観光に不向きな季節なので、そこらへんは割り切れる。(もちろん、出来る限り観光はしようと思う。)
 
そうやって計画した行程と鑑賞演目が次のとおり。
 
12月27日  ストックホルム  「サロメ」(N・シュテンメ出演)
12月28日  ストックホルム観光(鑑賞公演なし)  夜に飛行機でアムステルダムに移動
12月29日  アムステルダム  「賭博者たち」
12月30日  パリ  オペラ座管弦楽団コンサート「マーラー交響曲第2番復活」(P・ジョルダン指揮)
12月31日  ケルン  「こうもり」コンサート形式上演(V・カサロヴァ、B・スコウフス出演)
1月1日    フランクフルト  「ナクソス島のアリアドネ
1月2日    ミュンヘン  「運命の力」(J・カウフマン、A・ハルテロス、L・テジエ出演)
 
 10月のウィーンに続き、またもや今回も私の前に立ちはだかったのが、スーパーテノール、J・カウフマンであった。コイツが異常とも言えるチケット入手難の事態を引き起こす張本人だ。
 まず第一次抽選予約を申し込んだのだが、あっけなくハズレた。仕方なく次の一般発売に賭け、発売時間ジャストにネット申込みをしようとPCの前でスタンバイしていたというのに、いきなり発売前から「ソールドアウト」表示が出た。一般発売枚数ゼロ。
 
マ・ジ・か??
「うぜぇー。勘弁しろー。カウフマンなんかどうでもいいからオレにウンリキ観させろー!」
 
 などと頭を抱えつつ、じつは第一次抽選に漏れた時点で「ひょっとすると取れないかも」という覚悟がある程度できていた。もし取れなかったら、行先をシュトゥットガルトに変更し、そこでファルスタッフを観ようと思っていた。
 
「やっぱりファルスタッフか・・」
ぼんやりと考えていたその時。突然、わずかにチケットが放出された。たった数枚だけ。慌てて申込み、ゲット。一瞬の出来事であった。
 その後、もう一回だけ立見席が放出され、これもあっという間に予約が入り、かくして祭りは終了となった。
 ラッキー。運良く取れたのはまさに運命の力のおかげというわけか(笑)。
 
 そいうことで、せっかくのプラチナチケットなので期待しようと思うわけだが、何を隠そう私が今回の旅行で個人的にとても楽しみにしているのは、運命の力ではない。アムステルダムで上演されるプロコフィエフの「賭博者たち」なのだ。
 
 このオペラは滅多に上演されない激レア作品。日本ではまずやらんだろう。
 また、聴く側にとって理解が非常に難しいオペラで、はっきり言って上級者向けだが、マニアにとっては垂涎の演目と言えるだろう。
 心地良い甘美なメロディーなど皆無。金、欲、打算、企み、破滅、そしてドロドロの人間関係・・・プロコフィエフが持てる才能をフルに発揮して狂気の世界を描いた渾身の意欲作だ。天才の境地ここに極めリ。
 
 ひょっとするともう二度と聴く機会が得られないかもしれない作品の鑑賞。29日が待ち切れない。どうか無事にアムスに着きますように。