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2013/6/11 チョン・キョンファVnリサイタル

2013年6月11日  チョン・キョンファ ヴァイオリン・リサイタル  サントリーホール
チョン・キョンファ(ヴァイオリン)、ケヴィン・ケナー(ピアノ)
モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ第35番
プロコフィエフ  ヴァイオリン・ソナタ第1番
バッハ 無伴奏パルティータ第2番より シャコンヌ
フランク  ヴァイオリン・ソナタ
 
 
 実演はこれまで1回しか聞いたことがない。しかもかなり以前なので、記憶も鮮明ではない。レコーディングと生演奏を単純比較することは私のポリシーに反する。故に、この日のチョン・キョンファの演奏の出来が彼女本来のものであったのかどうかはよく分からない。
 
 だが、これだけは言える。
 私が目の当たりにし、耳を傾けたのは、紛れもなくチョン・キョンファであった、と。
 
 この日のリサイタルでは、彼女のキャッチフレーズとも言える高い燃焼性や激しい熱情、あるいは艶やかさなどはそれほど感じられなかった。(正直言うと、それを期待していた部分が私の中にはあった。)ただし、それはもちろん年齢的なことやブランクといった諸事情があるだろう。
 
 むしろそれよりも、作品の演奏に持てる全てを捧げる献身性や、近寄りがたいくらいに全神経を集中させて取り組む真面目さにチョン・キョンファらしさを見出した。
 この日の演奏でも、プログラムの中にオードブル、サブ、メインの力の配分は全く見られない。全てがメインで、全ての演奏が全力。そこに隙、ゆとり、遊びが入り込む余地がない。怖いくらい、まるで命を賭けているかのような真剣さだ。
 
 確かバッハのシャコンヌだったか、演奏中、客席(LAブロックあたり)から大きな咳だかくしゃみだかが発生し、演奏に水を差した。すると彼女は、なんとその方向をギロッと睨みつけた。
 怖~い! 睨まれた方は息が止まったことだろう。
 
 そう、これが紛れもなくチョン・キョンファなのだ。今も昔も、そしてこれからも変わることがないであろう。