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マーラー交響曲第6番

 大学生の時、オーケストラ部に所属してヴァイオリンを演奏していた。当時、交響曲など様々な作品を演奏したが、とりわけブルックナー交響曲第8番、それからマーラー交響曲第1番と第6番を演奏する機会を得られたのは素晴らしい体験であった。これらはアマチュア団体が取り組むにはかなりの大曲であり、難曲。「やりたい」といってやれる曲ではないだけに、本当にラッキーだったし、一生の思い出になっている。

 マーラーの6番は、実を言うと自分が所属していた大学のオーケストラ部で演奏したのではない。他団体(アマチュア・オーケストラ)への賛助出演だった。いわゆるエキストラっていうやつだ。

 アマ・オケにおけるエキストラの役割は、単に足りない人数の補充確保だけではない。その団体の演奏水準の底上げに少しでも貢献することが重要。このためエキストラは上手い人でなければならない。下手クソはお呼びでないのだ。

 で、私はというと、ヴァイオリンを始めたのは大学に入学してからという初心者からの成り上がり者。努力の甲斐があって三年生の時には2ndヴァイオリンのパートリーダーにまで登り詰めたものの、実力ははっきり言ってそれほどの物でもなかった。

 そういう人間はエキストラに参加しちゃいかん。本当は、な。
 だが、私はマーラー6番と聞いて、居ても立ってもいられずに飛びついた。別にオーディションされるわけでもなし、こっそり紛れ込んじゃったわけよ。それに、オレっち、実際の腕前は大したことなかったけど、「上手そうに見えるように弾く」テクニックは相当自信があったわけよね(笑)。鏡見ながら練習したもんなあ。くっくっく。

 予想していたとおり、マーラーの6番はそのスケールの大きさ、劇的さ、難しさにおいて、とてつもなかった。凄まじい曲だった。私がそれまでに演奏した全ての曲の中で最もチャレンジングだった。まるで聳え立つエベレスト山のようだった。

 練習した。とにかく朝から晩まで練習した。大変だったけど、この曲を演奏できる喜びと感動の方が圧倒的に大きかった。楽しかったし、達成感があった。本当に一生モノの体験だった。機会を与えてくれた都内の某アマチュア・オーケストラさん、ありがとう!

 さて、思い出のマーラー6番。今、この記事を書きながら、当時の楽譜(2ndヴァイオリンのパート譜)を引っ張り出し、パラパラとめくってみたのだが、興味深いことに気が付いた。

 もう20年以上も前に演奏した時の楽譜なのであるが、「2楽章がアンダンテ、3楽章がスケルツォ」という順になっている。(楽譜には、PUBLISHER : EDWIN F.KALMUS NEW YORK と書いてある。)
 御存知のとおり、中間の2つの楽章の順番については、以前から議論があった。だが、数年前に国際マーラー協会が「2楽章がアンダンテ、3楽章がスケルツォ」と決定するまでは、「2楽章がスケルツォ、3楽章がアンダンテ」というのが一般的というか、多数派だったように思う。そんな中で、私が手にしている楽譜の版は、当時一般的ではない順序の方に従っていたというのは、少々驚いた。
(ちなみに、私が演奏に参加したアマ・オケは、楽譜に書かれた順序をあえて変更し、当時の一般的順序に倣って演奏した。)

 先日のカンブルラン指揮の読響は、「2楽章がアンダンテ、3楽章がスケルツォ」だった。近年の趨勢だろうか。

 学術的なことはよく分からないが、私はというと、単にこれまでの慣れで、旧来の方がしっくりくる。ただし、慣れの問題なので、そのうち違和感がなくなるかもしれない。