クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2013/2/7 アントワープ

 色々あって慌ただしくバタバタと出発したが、飛行機の運行は順調そのもので、経由地のフランクフルトで乗り換え、午前8時にブリュッセル国際空港着。市内には入らず、空港駅からの直行電車でアントワープに向かい、当初の予定どおり午前9時に到着した。
 天気は晴れ。前夜もしくは明け方に雨が降ったようで地面が濡れていたが、輝くような眩しい日が差し込み、旅行者の気分を高揚させた。
 
 二回目のアントワープ。前回の訪問は、もう10年以上前である。美しく、素敵な街だったという印象が強く残っていたので、今回再訪の機会が得られたのは本当に嬉しかった。
(だから、オペラの指揮者を勘違いしても訪問予定は変えたくなかったわけさ。それにしても、ベルギーは古都が多く、ブリュッセルアントワープ、ゲント、ブルージュ、メッヘレン、リエージュ、どこも本当に魅力的である。)
 
 アントワープといえば、何と言ってもルーベンス。旧市街の中心フルーン広場には彼の銅像が立っていて、すぐそばにそびえるノートルダム大聖堂をバックに、誰でも素晴らしいワンショットを収めることが出来る。
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そのノートルダム大聖堂の内部には、日本人にお馴染みの物語「フランダースの犬」で、ネロ少年が念願かなってようやく見ることが出来たというルーベンスの大作「キリストの昇架」「キリストの降架」がある。この日も、日本人団体ツアー客がこれらの絵の前で人だかりになっていて、ガイドの説明に聞き入っていた。
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 前回時に行くことが叶わず、今回ようやく訪れることが出来たのがマイヤー・ファン・デン・ベルグ美術館。目当てはピーター・ブリューゲルの傑作「狂女フリート」。美術収集家だった貴族マイヤー・ファン・デン・ベルグがケルンの市場でほとんどタダ同然で手に入れたが、その後に再評価されて作品の価値が急上昇したというエピソードでも有名である。
 私はこうした貴族のプライベート・コレクション美術館を訪れるのが結構好きだ。なぜかというと、邸宅がそのまま美術館になっているので、家具や調度品も含め、当時の貴族の生活様式を見ることが出来るから。屋敷内を巡っていると、その時代にタイムスリップする感覚になって、楽しいのである。
 
 昼食を取り、午後に「ルーベンスの家」を訪れたところで、天気が急変し、雨がザーッと降りだした。すぐに止んで、再び晴れたと思ったら、また黒い雲がかかって雨が降り、やがて小雪がちらつく。上空はものすごく強い風が吹いているようで、雲の流れが早く、天気がコロコロ変わる。
 
 青い空の中に沸き立つ黒い雲。空の半分は光線が差し込み、もう半分は暗い。日本ではあまり見かけない空の景色だが、私はこの光景に見覚えがある。オランダ絵画の中でだ。ファン・デ・ヴェルデ、ヤン・ファン・ホイエン、ロイスダールなどの風景画の中に、この空の景色を見つけることができる。「なるほど、あんな感じか」と理解する美術ファンもいらっしゃると思う。オランダ・ベルギー地方って、ずっと昔からこういう天気だったのだろうな。
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