クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2012/8/14 マティルデ・ディ・シャブラン

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2012年8月14日  ロッシーニ・オペラ・フェスティバル   ペーザロ・アドリアティック・アリーナ
ロッシーニ  マティルデ・ディ・シャブラン
指揮  ミケーレ・マリオッティ
演出  マリオ・マルトーネ
オルガ・ペレチャトコ(マティルデ・ディ・シャブラン)、アンナ・ゴリャコーワエドアルド)、ファン・ディエゴ・フローレス(コッラルディーノ)、ニコラ・アライモ(アリプランド)、パオロ・ボルドーニャ(イシードロ)、キアーラ・キアッリ(アルコの伯爵令嬢)   他
 
 
 特大の場外ホームランが出てしまった。その威力たるや・・・言葉が出ない。あまりのすごさに驚嘆、唖然、呆然・・・。
 
 とてつもない演奏に遭遇すると、自分自身に普通ではない反応が起きることがあるが、今回、演奏を聞きながら、どういうわけか「ヤバい、ヤバい、どうしよう?」とうろたえてしまった。
 いったい何がヤバかったのか? 自分でもよく分らない。
 多分以下の諸々の感情が複雑に入り混じった結果、頭が混乱しパニックに陥ったのだと思う。
 
「こんなにも凄いオペラ体験をしてしまっていいのだろうか?」
「これまでのオペラ体験の中で、これ以上のものがあっただろうか?思い出せない。思い当たらない。っていうか何も考えられない。」
ロッシーニの音楽がこんなにも素晴らしかったなんて!」
「恐るべし、ロッシーニ・オペラ・フェスティバル!」
「どうしてこんなに凄い音楽祭をこれまで見過ごしてきたのだ?」
「この感動をいったいなんて表現したらいいのだ?」
フローレス、す、す、凄すぎる!!」
「頼む、もうそこまでにしてくれ。これ以上感極まると、気絶してしまう!」
 
 神に祝福された世紀のスーパー・テノール、ファン・ディエゴ・フローレスは今回もまたやってくれた。輝かしい高音、ジェットコースターのような超絶アジリタ、会場を揺るがす圧倒的な歌唱、有無も言わせぬ存在感。聴衆は完全に打ちのめされ、そして彼にひれ伏す。
 
彼は人間なのか? もちろん人間だ。
でもひょっとすると人間ではないかもしれない。
彼は神なのか? いや人間だ。
でもひょっとすると神かもしれない。
 
 こうして私の頭は混乱し、パニックになり、「ヤバい、ヤバい、どうしよう?」となる。
 
 
 今回、上記のとおり驚き、腰を抜かし、パニックになりながらも、一つ、大きな発見があった。それは最も重要な発見だった。
 
ロッシーニのオペラは『生』である。」
 
 ナマと読んでもいい。セイと読んでもいい。どちらの意味も含んでいる。
 
 ロッシーニの音楽からは、人間の息吹が感じられる。そこに、生きている証しがある。生気があり、感情があり、呼吸がある。それらがライブにより、ステージからの息遣いとして直接客席に伝わり、観客は生きていることの幸せを実感する。
 
もちろん私はこれまでにも多くのロッシーニ・オペラを体験している。だが、ここにきて、ついに私は開眼した。
 
もっともっとロッシーニを聞きたい。『生』を味わいたい。
 
この興奮はあと数日続く・・・。
 
 
(※ なんか、マティルデ・ディ・シャブランの公演の感想というより、今回のフェスティバル全体の総括、まとめになってしまった。次回以降は、もう少し冷静にどういう公演だったのかを書きたいと思う。)