クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2012/8/12 椿姫

2012年8月12日  マチェラータ音楽祭  スフェリステリオ・アリーナ
指揮  ダニエレ・ベラルディネッリ
演出  ヘニング・ブロックハウス
ミルト・パパタナッシウ(ヴィオレッタ)、イヴァン・マグリ(アルフレード)、ルカ・サルシ(ジョルジョ・ジェルモン)、ステファノ・フェラーリ(ガストーネ)    他
 
 
 マチェラータ音楽祭の長い歴史の中で、これまでに何度も上演が繰り返されている名プロダクション。舞台の床に各幕の場面を形成するデザイン画を敷き、それを舞台後方から特大の鏡で反射させるというもの。
 
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 オペラが始まる前は、この特大の鏡は床に伏せられている。前奏曲の音楽とともに鏡がゆっくりとロープで引き上げられ、蓋が開くように鏡が姿を現す。同時に、反射によって徐々に舞台に特別な空間が創出されていく様は圧巻の一言で、会場のあちこちから感嘆の声が漏れた。
 
 鏡は特大な物であるが、一枚ではなく複数枚を並べているため、反射が一様ではない。その結果、複雑な模様が現出し、これがまた絶妙な効果を生んでいる。また、床のデザイン画だけでなく、舞台上の登場人物たちも併せて写し出すので、そこに動きのアクセントが加わる。
 床のデザイン画は布に描かれていて、場面転換はこの布を黒子たちが引き抜くことで行う。素早く引き抜いたり、徐々にじわじわと引き抜いたり、タイミング差をつけて布にシワを寄せたりと、様々に変化を加えていくため、とにかく見ていて飽きが来ない。
 
 なるほど、これは実に秀逸なアイデアだと思った。名プロダクションの評判は本当だった。幻想的な舞台に私も唸った。
 
 
 数あるオペラ作品の中でもとりわけ有名で、万人に愛されているのはいいが、上演頻度がやたらと高く、「毎度こればっかり」感にいつも苛まされる「椿姫」。しかも物語は「お涙ちょうだい」で鼻白むし、非常識極まりないお父さんジェルモンの存在がウザったいし、ストーリーに共感できず、私にとって非常にやっかいな「椿姫」。
 
 だが、この日の公演は、何を隠そう非常に感動した。
 
 理由は明白だ。海外の公演では日本語字幕が付かないため、セリフを追う必要がなく、突っ込みどころ満載のやりとりに悩まされることがないのだ。その分、音楽に集中することができる。素晴らしい舞台演出と素晴らしい音楽にひたすら酔った。だから思い切り感動できたのだ。
 
そうか。椿姫は海外で見ればいいわけか(笑)。
いや、別に日本でも字幕を完全無視すればいいんだな。
これは良い発見だったわい。
 
 それにしても、私のお隣のお客さん(オバちゃん)は完全なド素人。上演中、舞台で何かが起こるごとに、お連れさん(同じくオバちゃん)とぺちゃくちゃ話していた。普通の劇場だったら間違いなく「シーッ!静かに!」と注意されるところだが、野外なのであからさまな迷惑というほどでもなく、お咎め無し。まあ、これは仕方ないとして、有名な「乾杯の歌」で、知っている音楽に思わず嬉しくなって、お連れさんと一緒に口ずさんで歌うのは頼むからやめてくれ~~!!(笑)
 
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