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2012/7/21 東響

2012年7月21日  東京交響楽団   サントリーホール
マーラー・リーダー・プロジェクト  東響コーラス創立25周年記念
男声合唱 東響コーラス
チャールズ・キム(テノール)、ヴォルフガング・ホルツマイヤー(バリトン
 
 
 ファウスト交響曲が名演だった。スダーンは、また一つ金字塔を打ち立てた。
 三楽章からなるこの交響曲は、それぞれの楽章に「ファウスト」、「グレートヒェン」、「メフィストフェレス」という登場人物をタイトル付けしている。音楽を作っていくに当たって、当然、それぞれの異なるキャラクターを演奏に反映させる必要があるが、スダーンはこれを絶妙に描き分けていた。
 スダーンの指揮ぶりは、一見すると、どの楽章も同じようにタクトを振っているように見えるのだが、オーケストラから引き出される音のニュアンス、味付けが微妙に異なっている。ということは、リハーサルの段階でかなり綿密な音作りの作業を行なっているということだろう。また、そのような綿密な音作りによって、この長大な交響曲の密度をギュッと凝縮する効果も発揮されており、そのために全く退屈することがなかった。
 
 ところで、このファウスト交響曲であるが、第三楽章最後の合唱の部分がいかにも取ってつけたような音楽で、なんか違和感があるにも関わらず、その圧倒的な盛り上がりに引き込まれて、「終わり良ければ全て良し」みたいについつい感動し、満足してしまうのである。
 この高揚感、何かに似ている・・・と思ったら、それは「マーラー」であった。2番の復活、あるいは8番のクライマックスで得られるカタルシス
 
 そう言えば、この日のプログラムはマーラー・リーダー・プロジェクトだって。まさか、そういう関連性まで狙っている・・・わけないよな・・・考え過ぎか。
 いや、ひょっとしたら、毎回のプログラムにテーマを持たせているスダーンなら、やっぱり有り得るかも。策士だもんな、この人は。