クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

マチェラータ音楽祭

 ペーザロとマチェラータの音楽祭は、計画をうまく立てれば一度の旅行で両方を回れるということをなんとなく知っていたので、ペーザロ行きを決断した後、すぐにマチェラータのスケジュールを調べた。「何をやるのかな?何を観られるのかな?」とワクワクしながら。
 
 そうしたらさあ・・。
 
 椿姫とカルメンだって・・・。ガクッ。
 
 もう笑っちゃうしかないよね。
 はっきり言って、見飽きている椿姫とカルメン。日本では、外来公演も国内公演も、判を押したようなワンパターンで上演が繰り返される椿姫とカルメン。いいかげんにしろって。
 せめて海外に行ったときは、日本ではなかなか見られない演目を観たいと思っているのに。やれやれ、嫌味かよ、まったく。
 
 まあねえ・・・。
 マチェラータやヴェローナのような夏の野外フェスティバルは、オペラマニアや上流階級だけでなく、観光産業の目玉として普通のお客さんも大々的に呼び込まなければならない。必然的に、演目は初心者向けやスペクタクル性のある物になってしまう。そのほかにはトゥーランドットとかナブッコとかアイーダとか。自ずと限られてしまうわけだ。つまり、かなり高い確率で椿姫やカルメンに当たってしまうのである。
 
 だからと言って、例えばR・シュトラウスの「カプリッチョ」だとかヤナーチェクの「イェヌーファ」などが上演されることを期待して、それまでじっと待っているか? そんなの、一生待っても上演されるわけがない。
 
 これはもう仕方がないことなのだ。嫌なら行くのをやめろ。諦め、自らに言い聞かせ、その上で納得してワンパターン演目を観よう。これはフェスティバルだぞ!真夏の夜の夢。そうだ!楽しみになってきたぞ!(ウソつけ)
 
 一つ言っておくと、今回の椿姫だが、音楽祭を彩ってきた数々のプロダクションの中でも屈指と評され、歴史に刻まれた名舞台なのである。ブロックハウス演出・スヴォボダ装置によるこの舞台は、その後、他の歌劇場にも貸し出されて再演されている。1994年には、名古屋でのローマ歌劇場引越し公演(初来日)で日本にもお目見えしている。舞台に特大の鏡を設置し、ステージの床を反射させ、その床に描かれたデザイン画を入れ替えて場面転換を図るという斬新なアイデア。名古屋公演を観た人は「ああ、あの舞台か」と思い出すかもしれない。
 
 
 その他、マチェラータの情報を色々と調べてみたが、どうもあまり良い話がない。地理的に不便な場所にある、見所となる観光ポイントがない、音楽祭の時期はホテルの数が圧倒的に不足する、などなど。
 
 確かにローマやミラノから電車でマチェラータに向かうと、6時間もかかるらしい。(飛行機でアンコナまで行くという手もあるが) 私はボローニャから入り、そこから電車でマチェラータに向かうが、それでも4時間くらいかかりそう。地理的に不便な場所というのは、確かにそのようである。
 
 ホテルについては、音楽祭を紹介する記事に必ずと言っていいほど「チケットよりも何よりも、ホテルの確保が最大の問題」と書いてある。市内には数件程度しかないとのことだ。
 私は、というと、4月下旬にインターネットのホテル予約専用サイトで確保した。確かに数は少なかったが、それでもいくつかの中から選ぶことができたくらいだから、言われるほど深刻ではない気がする。もちろん、早めのアクションに越したことはない。
 ちなみに音楽祭のチケットは、音楽祭公式HPのオンラインショップで簡単に買える。
 
 最後に、野外音楽祭最大のリスクである雨天の場合について。
 スポーツと違い、オペラの場合は、上演中に雨が降れば即座に中断となる。しばらく待っても一向にやまない場合は中止となる。
 比較的に中止の決断が早いと言われるヴェローナに比べて、マチェラータはかなり辛抱強いらしい。雨がやむのを待って待って、どんどん時間が経過して、やがて上演が再開され、終わってみたら午前3時(!)ということもあるとのこと。うっひぇ~!そりゃ勘弁だなあ。見る方も大変だけど、出演者もおつかれだねえ。
 
 いずれにしても、雨が降らず、無事に滞りなく上演されることを祈ります。
 だいたい、滞りなく演奏されても午後9時開演で終演が午前0時を回るんだからねー。どうなってるんだ、この国は(笑)。