クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ロッシーニオペラフェスティバル

 ペーザロ行きは決まった。そうしたら次は当然チケットの確保だ。
 ロッシーニ・オペラ・フェスティバル(ROF)の場合、毎年オペラは4本くらい上演される。当然一つの劇場だけでは対処できないため、会場が複数となる。
 そのうちの一つ、「アドリアティック・アリーナ」という会場は、純粋な劇場ではなく、‘アリーナ’というとおりスポーツにも対応可能な総合施設。収容人数も大きいので、この会場で上演されるオペラならチケット入手はそれほど難しくないだろう。
 問題は、テアトロ・ロッシーニと呼ばれる伝統的な馬蹄形様式の歌劇場で上演されるオペラ。キャパシティは小さく、わずか800席程度。「ええ!?たったそれだけ??」と思ってしまうが、それもそのはず。世界的な音楽祭を行うために造ったのではなく、たまたまペーザロという小さな街にあった小さな劇場で世界的な音楽祭をやるのである。チケットの入手が難しそうであることは、想像に難くない。
 
 色々と調べてみた。
 やはり「近年人気急上昇の音楽祭なので、早めのアプローチが必須」などと紹介されているものが多い。中には「チケットが取れない音楽祭の代表格」なんて紹介もあったが、そりゃいくらなんでもオーバーだろう。いずれにしても、それなりの努力をする必要がありそうだ。だが、いかんせんこちらも初めてのため、その難易度がよくわからない。
 
 ここでまた私の悪い癖が、ムクムクと疼きだす。
「せっかく行こうと思ったらチケットが取れなかった」というのは、めちゃくちゃ気分が悪い。はっきり言って悔しいし、後々まで悔恨の情が残る。楽しい旅行の思い出にケチが付く。そういうのは、嫌だ。
 だから、プレミアムチケットに対しては、多少の色を付けてでも取りに行く。高級ホテルのコンシェルジュ、チケットブローカー、ネットオークション、そしてダフ屋など、あらゆる手段と可能性を選択肢に入れる。これが私の流儀なのである。決して胸を張れるものではないが。
 
 今回私が目を付けたのは、「Amici」または「Amico」(イタリア語で『友達』)と呼ばれる賛助会員制度。その名のとおり「友の会」メンバーだ。無料登録ではなく、一定の上納金が必要。金額は200ユーロから、それ以上。いろいろ特典があるが、最大はもちろんチケットの優先予約受付だ。
 
 200ユーロは決して安くない。だが、これでチケット入手が確実なら、悪い話ではない。偉大なロッシーニとその作品に敬意を表し、音楽祭の維持運営に貢献する寄付だと思えば、ちょっとした自尊心も生まれる。かつて例を見ないほどの超円高ユーロ安も、割安感が生まれて気分的に後押しした。
 
 会員になる方法は簡単。ホームページで確認し、音楽祭事務局にメールや手紙で「会員になりたい」と連絡すればいい。すぐに返事が来るので、あとは200ユーロ以上の一定額を振り込む。クレジットカード決済が一番簡単だろう。
 チケット申込みの受付(郵便、ファックス、メール)開始は、一般の場合5月2日からだが、Amico会員の場合3月26日からだった。(今年の場合)
 
 こうして世界的な音楽祭のチケットを全て希望どおりにゲット。決して万人にお奨めできるやり方でも裏ワザでもないが、私は自分の流儀に従った。「こういう方法もある」ということで、いちおう紹介させていただいた。
 
 ちなみに、会員芳名録を眺めてみると、日本人の会員はかなり多い。毎年音楽祭に参加しているロッシーニマニア、あるいはロッシーニ協会の方々なのかな?
 
 もし、「そんなことしなくても、チケットの入手は楽勝ですよ。大丈夫ですよ。」という確証をお持ちの経験者がいらしたら、今後の参考のためにも是非教えていただきたい。