指揮 大野和士
庄司紗矢香(ヴァイオリン)
シマノフスキ ヴァイオリン協奏曲第1番
二つの意味で、濃密なコンサートだった。
まず、プログラムが濃密。
あっぱれなくらいに意欲的なプログラムである。隙がなく、気を抜いたり居眠りできる曲がない。しかも、比較的マイナーとされるシマノフスキのコンチェルトでは、日本人ソリストの中では一頭地を抜く庄司紗矢香嬢を抜擢するこの絶妙さ。やるなあ。おれ、こういうコンサート大好き。こういうのをやってほしいといつも願っている。
次に、演奏が濃密。
三曲とも緩みがなく緊張感に溢れた演奏だったため、こちらは手に汗握りながら聴くはめに。おかげで演奏後はどっと疲れるほどだったが、まさにこういうのを「充実」というのだと思った。
そうした状況を創り出したのは、もちろん大野さんの功績なのだろうが、それに見事に応えた都響も立派。都響の技術の高さは以前から定評があるが、この日は弦楽合奏で浄夜をやったこともあってか、特に弦のクオリティの高さが印象に残った。
素晴らしいコンサートを十分に満喫したら、そのあとに何があろうと起ころうと多少のことには動じない。
この日は台風が本州に上陸し、ちょうど帰宅のさなかに暴風雨の直撃を食らった。最寄り駅から自宅までの徒歩道、傘はまったく雨よけにならず、それどころか何度も飛ばされそうになり、全身びしょ濡れになりながら、どうにか我が家に辿り着いた。
でも、コンサートで濃密な時間を過ごせたので問題はなく、ビッショリ水に浸かってもなんとも言えない心地良い充実感と爽快感が・・・・
・・・・んなわけないだろーーーー!!!!