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2012/3/10 東響

2012年3月10日  東京交響楽団定期演奏会   サントリーホール
指揮  秋山和慶
神尾真由子(ヴァイオリン)
ストラヴィンスキー  交響詩うぐいすの歌
コルンゴルト  ヴァイオリン協奏曲
スクリャービン  交響曲第4番法悦の詩
 
 
 今年に入って二本目のホームランが、どちらかと言うとノーマークだったこの公演から生まれた。(一本目は、将来のスター指揮者バッティストーニが指揮した二期会ナブッコ。)
 
 とにかく腰を抜かすくらい驚き、そして感心したのが、神尾真由子のコンチェルトであった。ちょっとオーバーな表現かもしれないが、神懸かりの演奏だったと思う。
 
 小柄でどこにもいそうな普通の女の子の神尾さん。舞台に登場したその姿は、決して特別なオーラがあるわけではない。スター演奏家にありがちな尊大さもない。
 ところが、曲が始まった瞬間に彼女にスイッチが入る。スイッチが入ったら、もうただの女の子ではなくなって、音楽のミューズに大変身となる。揺るぎがなく研ぎ澄まされたテクニック、自信満々の堂々たる弾きっぷりに、聴衆は釘付けになって聞いている。その聴衆の熱い視線を一身に受けながら、ますますヒートアップする彼女。スリリングで、なおかつ艶やかなその演奏は、どことなくチョン・キョン・ファのそれを彷彿させる。
 
 一歩間違うとただ甘いだけの砂糖菓子の演奏に陥りかねないコルンゴルトのコンチェルトが、これほどまでに優美かつ高貴なメロディとして響くのは、本当に驚異的だった。
 彼女の演奏を聞いたのは初めてではない。だが、これほど圧倒されたことはかつてなかった。コルンゴルトとの相性が良かったということだろうか。
 
 
コンチェルトの影に隠れてしまった感がなきにしもあらずだが、ストラヴィンスキースクリャービンも、十分に立派な演奏だった。指揮の秋山さんは、風貌も指揮ぶりも全然派手さがないのだが、ここぞというところで結構豪快に鳴らしていた。盛り上がりを巧みに作っている感じがした。ベテランはまだまだ健在のようである。