クラシック、オペラの粋を極める!

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2012/3/9 新日本フィル(すみだ平和祈念コンサート)

2012年3月9日  すみだ平和祈念コンサート2012   すみだトリフォニーホール
合唱  栗友会合唱団
三宅理恵(ソプラノ)、青山貢(バリトン
バーバー  弦楽のためのアダージョ
ショスタコーヴィチ  室内交響曲 作品110a
フォーレ  レクイエム
 
 
 あの日からもうすぐ一年ですね。
 
 この日の公演、いかにも震災の犠牲者を偲ぶコンサートの趣きであるが、元々は第二次世界大戦東京大空襲で壊滅的な被害を蒙ったことに対する追悼と平和祈念のためのコンサートなのだという。もちろん東日本大震災への思いと兼ねていることは間違いないし、区分けする必要もない。
それよりも、祈りを捧げるのにこれ以上ふさわしいものはないと思える見事な選曲だ。
 私は、めったに聞けないショスタコーヴィチの室内交響曲がプログラムに入っているだけで単純に喜んでいたが、指揮者自身の解説によれば、この曲も、戦争による爆撃被害の衝撃が基となって書かれた作品であるとのこと。絶望や悲しみからやがて希望を見出していく、そんなきっかけになりそうな公演である。
 
 とにかく、三曲とも音楽が美しい!心に染み入るとはまさにこのこと。音楽には、祈りを込めたり慰めになったりするパワーがある。この計り知れないパワーによって、我々は救われたり立ち直ったりすることが出来るのだ。この日集った聴衆も、一人一人様々な感情が沸き起こったに違いない。
 
 指揮者のスピノジも、外国からの単なる招聘指揮者という役割を大きく超えて、犠牲者に捧げる哀悼の意を常に持ちながら、精一杯心を込めた演奏に尽くしていた。私は、思わずスピノジに対して手を合わせたくなるほど感謝の気持ちでいっぱいになり、いつもよりもたくさん拍手を送った。