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2012/2/22 N響B定期

2012年2月22日  NHK交響楽団 B定期演奏会   サントリーホール
指揮  ジャナンドレア・ノセダ
エンリコ・ディンド(チェロ)
ショスタコーヴィチ  チェロ協奏曲第2番
 
 
 ラテンの国々の連中はいかにも情熱的なイメージがある。中でもイタリア人はその典型。現役指揮者の中でも、ファビオ・ルイージアントニオ・パッパーノなど、「どうしてそんなに熱いの!?」というくらい炎の指揮をするが、本公演を振ったノセダも熱さでは負けない。とにかく燃えている。見ているこちらが恥ずかしくなるくらい激しく、熱狂的だ。
また、時に、官能的でもある。美しく感情のこもった旋律を思い切り貯めて吐き出す時、あるいはクレッシェンド共に盛り上がる時、「あ”ーっ!」「んんーっ」「ううーーっ」とまあ、唸る唸る(笑)。
 
 このように音楽に完全に没入してしまう情熱的な人がいるかと思えば、例えばテミルカーノフのように冷静沈着に音楽のバランスを統率する人もいて、指揮者というのは実に興味深い職業である。まあだからこそ、音楽というのは面白いわけであるなあ。
 
 面白いと言えば、このような熱血ノセダが、普段あまり燃えることなく淡々と演奏することが多いN響を相手にブンブン煽りまくった結果、その効果がてきめんに現れて、いかにもラフマニノフっぽいロマンティックな(またはエロティックな)音色が湧き上がったのは、痛快の一言。N響もこういう音が出るのだ、出そうと思えば。あるいは臆面もなく引き出してくれる指揮者が振れば。そういう意味で、さすがノセダである。いや、さすがラテン民族というべきか(笑)。
 
 
 ところで、最近私はN響の演奏に対して非常にポジティブな好印象を抱いている。数えきれないくらい聞いているN響であるが、腑抜けた演奏を聞かされた回数は数知れず。だからつい、「やるときゃやるが、やらんことが多い、実にけしからんオケ」なんて思ってしまう。
 
 ところが、である。最近、そういう腑抜けの演奏が少ないのである。
 もちろん指揮者や曲、あるいは私自身の好みによって印象は変わるが、近年は総じて良い水準である。世界的に名高い実力指揮者を積極的に呼んでいるのも要因の一つだろう。とにかく、これは誠にめでたく、喜ばしいことだ。