指揮 シャルル・デュトワ
ニコライ・ルガンスキー(ピアノ)
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番
久しぶりのオケ・コン。調べてみたら6年ぶりだった。この間、自宅でのCD鑑賞もただの一度もない。
実は、わざと距離を置いていたのだ。素晴らしい作品だと思うし、元々好きな曲だったのに、何度も聴いているうちに新鮮さが失われ、ある時期、一種の退屈さを感じるようになっていた。2003年9月、私はバルトークの本場であるハンガリー・ブダペストで、地元ハンガリー国立フィルの演奏によるオケ・コンを聴いたのだが、その時も全然感動することが出来なかった。
これはマズイ。私が長年この趣味を続けていて非常に恐れているのが、「飽き」である。最大の天敵と言っていい。ということで、甚だ残念だが、私はしばらくこの曲を封印することにした。
(普段、私はコンサートで同じ曲を同時期に立て続けに聴くことも極力避けている。なるべく新鮮さを保ち、飽きを避けようとする私なりの自己防衛だ。)
そして今ここに、封印を解除する機会がついに訪れた。デュトワなら、必ずやこの曲への熱い想いを蘇らせてくれるに違いない。
気合が入ったバルトークだった。
完全にスイッチが入って本気モードに突入。冷めた演奏でシラケることも少なくないN響が、渾身の力を込めて全開で演奏している。こうなるとN響は強い。披露された名人芸。まさにその名のとおり、「オーケストラのための協奏曲」だった。
何よりも重要なのは、デュトワとN響の演奏に舌鼓を打ちながら、再び曲の面白さを見出していたことである。心配された退屈感は微塵もなかった。復活!オケ・コン。さすがデュトワ!うれしかった。ありがとうデュトワさん。
そう言えば、デュトワは1991年4月にもN響とオケ・コンを演奏しているが、その時も‘中プロ’はプロコのP協3番だった。(ピアニストはブロンフマン) プログラムの配置的に収まりが良くて、あえてそのように選曲しているのか、それとも単なる偶然か。