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2011/12/14 N響B定期

2011年12月14日  NHK交響楽団定期演奏会   サントリーホール
ニコライ・ルガンスキー(ピアノ)
ヒンデミット  ウェーバーの主題による交響的変容
プロコフィエフ  ピアノ協奏曲第3番
バルトーク  管弦楽のための協奏曲
 
 
 久しぶりのオケ・コン。調べてみたら6年ぶりだった。この間、自宅でのCD鑑賞もただの一度もない。
 
 実は、わざと距離を置いていたのだ。素晴らしい作品だと思うし、元々好きな曲だったのに、何度も聴いているうちに新鮮さが失われ、ある時期、一種の退屈さを感じるようになっていた。2003年9月、私はバルトークの本場であるハンガリーブダペストで、地元ハンガリー国立フィルの演奏によるオケ・コンを聴いたのだが、その時も全然感動することが出来なかった。
 これはマズイ。私が長年この趣味を続けていて非常に恐れているのが、「飽き」である。最大の天敵と言っていい。ということで、甚だ残念だが、私はしばらくこの曲を封印することにした。
(普段、私はコンサートで同じ曲を同時期に立て続けに聴くことも極力避けている。なるべく新鮮さを保ち、飽きを避けようとする私なりの自己防衛だ。)
 
 そして今ここに、封印を解除する機会がついに訪れた。デュトワなら、必ずやこの曲への熱い想いを蘇らせてくれるに違いない。
 
 
 気合が入ったバルトークだった。
 完全にスイッチが入って本気モードに突入。冷めた演奏でシラケることも少なくないN響が、渾身の力を込めて全開で演奏している。こうなるとN響は強い。披露された名人芸。まさにその名のとおり、「オーケストラのための協奏曲」だった。
 
 何よりも重要なのは、デュトワN響の演奏に舌鼓を打ちながら、再び曲の面白さを見出していたことである。心配された退屈感は微塵もなかった。復活!オケ・コン。さすがデュトワ!うれしかった。ありがとうデュトワさん。
 
 そう言えば、デュトワは1991年4月にもN響とオケ・コンを演奏しているが、その時も‘中プロ’はプロコのP協3番だった。(ピアニストはブロンフマン) プログラムの配置的に収まりが良くて、あえてそのように選曲しているのか、それとも単なる偶然か。
 
 
 それにしても、第九一色に染まる12月のクラシックコンサート界において、デュトワN響とインバル都響の熾烈なバトルが繰り広げられたことは実に素晴らしい。インバルがショスタコーヴィチで重量級の堂々たる演奏を繰り広げ、デュトワも得意のバルトークで一気呵成に勝負に出る。日本のオーケストラの雌雄を決する華麗なる対決。だがガップリ四つで決着がつかず、ついに真打ちスクロヴァと大野を登場させ、第九による最終決戦へ・・・。