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2011/12/3 新国立 ルサルカ

2011年12月3日  新国立劇場
ドヴォルザーク  ルサルカ
指揮  ヤロスラフ・キズリンク
演出  ポール・カラン
オルガ・グリャコーワ(ルサルカ)、ビルギット・レンメルト(魔法使い)、ペーター・ベルガー(王子)、ミシャ・シェロミアンスキー(水の精)、ブリギッテ・ピンター(外国の公女)   他
 
 
 まずはこういうなかなか上演されない曲を果敢に採り上げ、上演させた劇場に対して賞賛の拍手を贈る。オリジナルではなく、ノルウェー国立歌劇場からのレンタルプロダクションということであるが、いいではないか。何の問題もない。ちゃんと演出チームは今回の上演のために来日しているしね。
 
私は、別に無理してオリジナルにこだわる必要はなく、レンタルをどんどんやるべきだと思っている。世界には、素晴らしい成果であったにも関わらず、一度上演されただけでお蔵入りになっている優良プロダクションが沢山あるはずだ。もったいないではないか。良いものは借りちゃえ。オリジナル新演出に比べ、借りた方が予算的に安く上がるのだとしたら、一石二鳥ではないか。
 
そのポール・カランの演出は、事前に良い評判を耳にしていたのだが、そのとおり大変美しい舞台であった。特に、森や水の中の雰囲気を巧みに創り出す照明の効果が素晴らしい。
(私は以前にベネチアフェニーチェ劇場で、同氏演出による「ダフネ」を見たことがある。DVDにもなっているので、ご覧になった人もいると思うが、これもやはり舞台装置や照明によって、見事に幻想的な効果をあげていた。)
 
少女ルサルカの夢の中の舞台としたアイデアも良かったし、第2幕、喋れないルサルカが疎外され、除け者にされ、精神的に追い込まれる場面での群衆の動きやルサルカ自身の演技などは目を見張った。ルサルカは、夢の中で様々な境遇を体験しながら、きっと精神的に少女から大人へと成長していくのだろう。
 
歌手では、主役グリャコーワの発声は実を言うと、個人的にあまり好感が持てなかった。音域によってムラがあり、なおかつクセがある。でも拍手とブラボーはたくさんもらっていた。いいだろう、別に構わない。好みの問題というのもある。「悪い出来だった」と断じるつもりもない。
あとのキャストはまあまあというところですかね。新国立劇場のレベル相応でした。
 
それよりも、何よりも、とにかく決定的かつ致命的な大問題があった。
 
「私」である。 オレだよ、オレ。
 
何を隠そう(隠していないが)、あたしゃドヴォルザークが大の苦手なのだ。
「嫌い」と言っていい。
ブログだから控え目にしておくけどさ、非公式の飲み会でドヴォの話をさせたら、かなりヤバいよ。罵詈雑言のオンパレードになる。
 
私にとって、ドヴォの音楽はぬるすぎるし、甘すぎる。コーヒーをブラックでしか飲まない人間が、砂糖とクリームを大さじ10杯くらい注がれてそれを飲まされるような、そんな感じ(笑)。
民族舞踊っぽい旋律が流れると、「出たよ、また始まったよ」と苦笑してしまう。苦笑するだけならまだいいが、大笑いしてしまうことだってある。
ルサルカもそう。第一幕冒頭で3人の水の精たちが「ホウ・ホウ・ホー」と歌うところとか、魔法使いが「シュリ・ムリー・フック!」と魔法を使うところとか、第二幕冒頭で森番がのどかな歌を歌うところとか、もう、たまらなくこそばゆくていたたまれなくなって、その場を立ち去りたい衝動にかられる。
 
 
もし私がドヴォの音楽に心酔している人間だったら、今回のルサルカはさぞや名演と感じたんだろうなーとひじょーに残念に思いました(笑)。
 
P.S
ルサルカ第一幕の冒頭、水の精(ヴォドニク)と三人の精の乙女たちの場面ってさ、ワーグナーの「ラインの黄金」の冒頭の場面とそっくりだと思わない??さてはドヴォの野郎、パクったか??