海外オペラ事情に関心があって、どこで何をやっているか日頃からチェックしている人は、この公演概要を見て腰を抜かしたのではないだろうか。
指揮 ダニエル・バレンボイム
演出 ロバート・カーセン
ドン・ジョヴァンニ ペーター・マッテイ
ドンナ・アンナ アンナ・ネトレプコ
ドン・オッターヴィオ ジュゼッペ・フィリアノーティ
ドンナ・エルヴィーラ バルバラ・フリットリ
騎士長 クワンチュル・ユン
ツェルリーナ アンナ・プロハスカ
マゼット ステファン・コツァン
※以上は主要キャストのみ。公演は12月から1月にかけて上演されるが、1月に入ると、指揮者や主な歌手はガラっと変更になる。
このキャストを見て驚かない人は、オペラに詳しくないか、あるいは関心がないのではないですか?(笑)
私はこのラインナップを最初に見た時、目が点になった。そして上記のとおり腰を抜かした。おそらく現時点で望みうる最強のドン・ジョヴァンニではなかろうか。究極のドリームチーム。夢の競演とは正にこのことなり。
「こ・・こ、これは・・・行くっきゃない!」
劇場が公演概要を発表したのは5月だったが、この時点で早くも私の12月渡欧が決定した。
ところが、物事はそう簡単ではない。チケットの確保、これこそが最大の問題である。
とにかく、全世界が注目する垂涎の公演。ただでさえスカラ座のチケットは入手困難なことが多いのに、これは相当ヤバそうな予感・・・。
チケットの発売日は11月7日。そうよ、昨日であったのよ。
私は仕事を休んでこの日に備えた。こんな重要な日に仕事なんかやってられるかアホ。発売時間は現地時間の午前9時、日本時間の午後5時。
前日の6日深夜、公演日ごとの発売枚数が発表された。枚数は日によって異なるが、それでも各日最低でも100枚から、200~300枚くらいは放出されるようで、まずは安堵。10年前、ムーティが振ったヴェルディのオテロなんか、一般発売枚数が数枚(!)という日があったのだよ。ありえねえ!ほとんどは定期会員に行き渡り、残りは関係者、招待、コネ、そしてブラックマーケットに消えていったのだ。恐るべしスカラ座。
11月7日。この日、私はコンサートであった。内田光子ピアノリサイタル@サントリーホール。開演時間は平日だというのに午後7時ではなく、なぜか午後6時30分。こういう時に限ってなぜ6時半??開演に間に合うためには午後5時10分には自宅を出ないといけない。つまり「10分間」が勝負というわけだ。
午後4時45分。 私は静かにmyパソコンの前に着席。手元には筆記用具とクレジットカード。
午後4時50分。 スカラ座HPを開け、予約オンラインシステムに進む。事前に自分のID登録は済ませてあり、後は5時00分を待つのみ。緊張が徐々に高まる。
午後5時00分。 クリック! クリィ~~ッック!!
・・・・重い。サーバーが重い。全然動かない。やべー。
午後5時05分。 依然として動かない。冷や汗が出てきた。
午後5時08分。 ようやく画面が動いて日にち選択画面へ。しかしその後再び動かなくなる。
午後5時10分。 画面が動かない。コンサートに出掛ける時間だあ? 知るかそんなの。
午後5時12分。 座席選択画面に移った。残っている座席を見つけようとしたが、ここでやっぱり画面が動かなくなる。ジリジリと焦る私。ヤバいヤバい。
午後5時20分。 インターネットアクセスがタイムアップになってしまった。強制終了。「うぎゃああ!!!」
午後5時21分。 最初からやり直し。すると、発売枚数の残席がみるみるうちに減少していた。これはマジにまずい。買えないという事態が頭をよぎる。
午後5時25分。 座席選択を断念し、‘お任せ’コースに変更。席なんかどこでもいい。取れればいい。頼む~。
これがグッドチョイスだった。あっという間に次に進んだのだ!
午後5時30分。 支払画面に到達。クレジットカード番号を入力。そして完了。「ヤッター!!」
先方からの申込受付完了メールの受信を確認するやいなや、家を飛び出し、急ぎ足でサントリーホールに向かった。完全に遅刻である。一曲目はアウト。でも仕方がない。取れなくてがっかり失意でコンサートに出掛けるという最悪の事態は免れた。
午後10時40分。 コンサートから帰宅し、再びオンラインショップを覗いてみると、12月のすべての公演のチケットはソールドアウトになっていた・・・。(ただし、その後いくつかの公演日で、追加発売があった模様ではある。)
いやそれにしても本当に大変だった。久々に大いに焦ったわい。
しかーし。これで安心してはいけない。最後まで油断は禁物。なんたって私は過去のスカラ座でストライキによる公演中止の憂き目に遭っているのだ。今、イタリアはギリシャショックが飛び火しそうな気配で、非常に危ない。あとはもう神様に祈ろうと思います。
ちなみに、NHK-BSで、放送されるそうで。わざわざ行かなくても、日本で見られます。