クラシック、オペラの粋を極める!

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2011/9/23 ボローニャ歌劇場 エルナーニ

2011年9月23日  ボローニャ歌劇場   東京文化会館
指揮  レナート・パルンボ
演出  ベッペ・デ・トマージ
ロベルト・アローニカ(エルナーニ)、ロベルト・フロンターリ(ドン・カルロ)、フェルッチョ・フルラネット(デ・シルヴァ)、ディミトラ・テオドッシュウ(エルヴィーラ)   他
 
 
 久しぶりにエルナーニを聴いた。素晴らしかった!堪能した!
 自分の過去2度の鑑賞体験があまり良い印象ではなかったので、曲そのものがマイナーでイマイチなのかなと勝手に思い込んでいたが、とんでもない、なかなかいい曲ではないか。見直した。やっぱりイタリア人による演奏で、指揮者も歌手もそれなりの人たちが揃うと、見違えるようだ。
 
 イタリア人の手によるイタリアのオペラが他と一線を画すのは、当たり前だが母国語であるイタリア語が明晰であり、一語一語を音符に余すところ無く乗せることが出来るため、「歌」「声」「言葉」「旋律」が一体となって力強く響くことだ。これぞイタリア、これぞオペラ発祥の国。
 
 指揮者のレナート・パルンボは、叩き上げによる職人指揮者としてイタリアオペラで欠かせない、安定感抜群の貴重な指揮者だと思う。ドイツ・オーストリアにおいてワーグナーやR・シュトラウスで常に安定した演奏を聞かせるペーター・シュナイダーみたいな存在。ヴェルディ特有のブンチャ・ブンチャのリズムも躍動感たっぷり。
 
 歌手では、やっぱりフルラネットはさすがでしたねー。貫禄の圧勝。
 10年ぶりの来日、その10年前は新国立劇場でのドン・ジョヴァンニのタイトルロールだったが、彼の声はちょっとモーツァルトには重い気がした。やはりヴェルディの渋いバスが似合う。しかもいい感じで歳を重ねて、今や円熟の境地。今回のシルヴァ公はまさにハマリ役。
フルラネットは以前からドン・カルロのフィリッポ2世を歌っていて私も10年以上前にウィーンとザルツブルクで聴いたことがあるが、今まさに今、彼のフィリッポを聴きたいと思った。さぞや熟達老練の極地芸が聴けるに違いない。
 
 ロベルト・フロンターリもロベルト・アローニカも文句なし。急逝してしまったリチートラは本当に惜しまれるが、その代役でアローニカを得られたのは不幸中の幸い。のどがパカッと開く歌いっぷりなので、力強さがある。テオドッシュウは、声の圧力では男性3人に完全に負けたが、あえて同じ土俵での勝負を避け、独自路線で繊細な表現を際立たせたのは賢明だった。
 
 それにしても、クラシカルな舞台装置といい、整列して棒立ちの合唱といい、相手役が横にいようがいまいが堂々客席の方を向き、両手かざして朗々と歌い上げる主役の歌手といい、良い意味でも悪い意味でも「これぞイタリアオペラ!」。ケチつけたって仕方がない。だってイタリアオペラなんだから。ドラマがどうであろうが、歌と音楽だけで真っ向勝負する。これがイタリアオペラ。