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2011/9/12 読響

2011年9月12日  読売日本交響楽団定期演奏会   サントリーホール
指揮  シルヴァン・カンブルラン
合唱  新国立劇場合唱団
カタリーナ・カルネウス(メゾ・ソプラノ)、ジャン・ポール・フシェクール(テノール)、ローラン・ナウリ(バス)
ベルリオーズ  劇的交響曲ロメオとジュリエット
 
 
 こう言っちゃナンだけどさ、曲の途中、中だるみがあって若干退屈しちゃって眠くなることがあるんだけど、最後のフィナーレが美しくてかっこ良くて盛り上がり、感動の大団円となって「いやあ良かった!素晴らしかった!」という‘終わりよければ全てよし’みたいな曲がある。
 噂によると、超が付く初心者にとって、ベートーヴェンの第9がそうであるらしい。超初心者ではない私にとって、何を隠そう、リストのファウスト交響曲と、この日のベルリオーズのロメ・ジュリがそれ。
 
 私は普段ロメ・ジュリを聴くと、「早くフィナーレ来ないかな。まだかまだか?」と焦れったく待つことになる。ところが、この曲長いんだ。で、そのうちコックリコックリとなってしまう(笑)。
 でも待ちに待った終曲部がようやく近づき、ローレンス神父が宿敵同士を諌める歌を歌い始めると、「来たぞ、来たぞ!」と気分が高揚してくる。音楽もどんどん盛り上がっていく。やがて合唱によって高らかに和解が歌われ、圧倒的なクライマックスを迎える。ブラボー!いやあ素晴らしい!なんていい曲なんだ!でも、やっぱりちょっと長いな。別にフィナーレだけでもいいんだけど(笑)。
 
 この日、いつも同じように「まだかまだか?」とフィナーレを待っていたわけであるが、そこまでの道のり、決して退屈はしなかった。カンブルランの指揮が実に雄弁だったからだ。私はずっとカンブルランを見ていた。飽きなかった。
 きっと、彼はこの曲が得意なのだと思う。そして、この曲が好きなのだと思う。タクトは決してエレガントではないのだが、全身で音楽を体現させていた。曲が全て頭の中に入っているようで、完ぺきな交通整理。
 
 対照的に読響は、奏者の皆さん楽譜にかぶりつきで、必死に演奏していて余裕はあまり感じられなかったけど、そこはオケの底力で見事に乗り切った。もちろん上記のとおりカンブルランのプロフェッショナルなまとめあげがあってこそ。
 
 特筆すべきは合唱。あっぱれ新国立劇場合唱団、素晴らしかった。
 
 ソリストでは、健康上の理由(大笑い)で来なかったベアトリス・ユリア・モンゾンの代役を務めたカタリーナ・カルネウスがしっとりとした情感の歌で魅了したが、やはり何と言ってもフランスを代表するバス・バリトン、ローラン・ナウリがさすがの貫禄で素晴らしかった。よく日本に来てくれました!メッスィ・ボーク!(※フランス人は「メルシー」なんて発音しませんからね!)
 
 ナウリさん、帰国したら奥さん(ナタリー・デセイ)に「全然ノープロブレムだったよ。行っても大丈夫だよ。」ってちゃんと報告してくださいね。絶対だよ! 頼みますよ~。