クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

今年のバイロイト

 今年のバイロイトは谷間の年。谷間というとちょっと語弊がありそうだが、要するに指環の上演がない年だ。伝統的にリングは「5年続けて上演して一年休み、翌年新演出」というパターンである。
 
 ここ数年、毎年のようにバイロイトに登場し、事実上の首席指揮者待遇を得ているC・ティーレマンも今年はお休み。場所を移して、ザルツブルクで「影のない女」を振る。ずっとバイロイトにかかりきりだったということで、ザルツブルク音楽祭でオペラを振るのは、なんと、これが初めてだそうな。
 
 同じくバイロイトの常連で、すっかりファミリーの一人である我らが日本代表、藤村実穂子女史も今年は出演なし。調べてみたら、2002年から昨年まで連続出演中だった。すごいですねー。お休みのおかげで、先月の新日本フィルのコンサート・オペラ「トリスタンとイゾルデ」でブランゲーネを聴くことが出来た。いつもどおりバイロイトに呼ばれていたら、きっと日本に戻れなかったに違いない。
 それにしても、フリッカ、ブランゲーネ、エルダ、クンドリー、ワルトラウテなどメゾの主要ロールをほぼ征してきた藤村さん。残るはオルトルートってとこか。いいんじゃないの、悪役。是非チャレンジを。
 
 昨年の新演出ローエングリンでタイトルロールを歌ったスター歌手J・カウフマンは、今年はパス。っていうか、昨年せっかく満を持しての登場だったのに、チクルスの後半を降板した。劇場と何か衝突があったのだろうか?思わず勘ぐってしまう。この先バイロイトに再び戻る日が来るのだろうか??
 カウフマンの代役としてピンチを救った二人のテノール、K・F・フォークトとS・オニールが、今年は三顧の礼で迎えられ、第一歌手としてそれぞれローエングリンパルジファルを歌う。
 フォークトはこれでヴァルターに続く二役目をゲット。着々とヘルデンテノールとしてのキャリアを築きつつある。来年の新国立のローエングリンでは、“バイロイトローエングリン歌い”の称号を引っ提げて堂々の来日となるわけですね。楽しみです。
 ニュージーランド出身のサイモン・オニールはどちらかと言うとニューカマーだが、無事に大役を務め上げることが出来るだろうか。一昨年、N響ヤナーチェクのグラゴル・ミサを演奏(指揮デュトワ)した際、テノールとして来日したのだが、その時の印象をいったい誰が覚えているというのだろう??
 
 今年の新演出プレミエはタンホイザー古楽系指揮者のヘンゲルブロックが振るというので、話題になっている。
 何を隠そう、私はバロック系にあまり詳しくなくて、残念ながらヘンゲルブロックのことは評判でしか知らず、その良さを認識していない。そんな未知の指揮者のバイロイトでの活躍は私の知的好奇心を大いにくすぐる。どんな結果か、レポートを楽しみに待ちたい。
 演出は・・・。舞台写真を見たら、何やら化学工場のような・・・。もう最近の演出は、何があっても驚いてはいけない世界。ローエングリンだってネズミワールドだしね。
 
 そのネズミローエングリンを、NHK-BSで生中継するというというのは喜ばしい。最も怖いのは、ノイエンフェルスの過激な演出ではなく、放映中の地震の発生。せっかく録画した中継映像に「◯時◯分頃、どこどこで地震が発生しました。各地の震度は・・・」というテロップが流れるのは、がっくりの一言。せっかく保存しようと思っているのに。どうか何事も起こりませんように。
 
 
 昨年、念願のバイロイト詣でを無事済ませ、コツコツと申し込み続けた実績がここでリセットされてしまった。やれやれ、また一から出直しである。初バイロイトでリングを観たので、次回は是非トリスタン、パルジファル、マイスターを観たい。聞くところによると、2015年から新制作でティーレマン指揮によるトリスタンが予定されているらしい。何とかそれに間に合えばいいな、と思っている。
 私に触発されたのか、今回ザルツで御一緒する親友Sさん夫妻も、昨年から新規申込を開始したそうだ。一緒の年に当選して、一緒に観られるといいね!