クラシック、オペラの粋を極める!

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2011/6/4 N響 C定期

2011年6月4日  NHK交響楽団  C定期演奏会   NHKホール
プロコフィエフ  組曲「三つのオレンジへの恋」
プロコフィエフ  ピアノ協奏曲第2番
シベリウス  交響詩大洋の女神
 
 
 ベートーヴェンを理解するために、別にドイツに行く必要などは無い。ドビュッシーを理解するために、別にフランスに行く必要などは無い。行ってもいいが、行かなければ理解出来ないということは無い。
だが、唯一、この作曲家だけは別のような気がする。シベリウスである。
 シベリウスの音楽だけは、フィンランドの土地を知っていないと理解出来ないのではないかと強く感じる。
 それでは、理解するためにフィンランドを訪れればいいかと言えば、それはそれで物理的に簡単なことではない。ということはつまり、シベリウスの本質に迫るのは「とても難しい」ということになる・・・。
 
 この日のN響シベリウスは、音符はきちんと楽譜通りに並んでいるものの(プロだから当たり前)、案の定というか、楽譜の奥底に隠されている本質を喚起するに至っていない。彼の音楽から聞こえてくる自然の叡智、悠久の時。ブラックホールに吸い込まれるような超引力、重々しい空気と寂寥感・・・。これはいったいどこから来ているのか?指揮者アシュケナージはひょっとすると理解できていたかもしれないが、オーケストラは完全に手探り状態だった。これでは不完全燃焼だし、聴いている我々もなんだか答えが与えられなかったようで欲求不満となる。結局、「難しい」で終わってしまった。
(これらの問題を解決するには、フィンランド出身の指揮者に助けを求めるしか方法はないのであろうか?幸いにしてフィンランドは国際的な指揮者を数多く輩出しているので、そういう解決策は得られそうだが。)
 
 前半のプロコフィエフも、なんだか似たような印象。かろうじてガヴリリュクの弾けるようなコンチェルトに救われた。
 
 前回のAプロは良かったのだが・・・。今回は難曲や珍しい曲を集めてとても意欲的なプログラムだったが、やや空回りだったと思う。