クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2011/5/3 ウィーン

 バカの一つ覚えみたいに毎回エールフランス航空一辺倒だった私の欧州旅行のフライトであるが、これまでのおびただしい遅延、キャンセル、ストライキ、窓口での不親切や不手際などの遭遇に、日頃こんなにも寛容なワタクシも、ついに愛想が尽きた。今回、昨年夏のバイロイト旅行に引き続いてKLMオランダ航空を利用。飛行機を変えてみて、定刻運行を何の疑いもなく信用できる-そのこと自体に深い感動を覚えた。海外旅行においては、「予定通り」ほどありがたいものはないのである。
 
 オランダの航空会社ということもあって、機内サービスのビールはもちろんハイネケン。長距離便には無料ドリンクのほかに必ずアイスクリームの配布サービスがあるのもちょっとした特徴だ。一般的にオランダ人は大柄な人が多いが、キャビンアテンダントの方々もみんな恐ろしくデカくて迫力がある(笑)。
 
 アムステルダムを経由して、予定通りの時刻である午後7時30分にウィーンに到着した。リムジンバスで市内に入ったら、長旅の疲れもあるし夜なので、さすがにもうこれから遊びに外出することは出来ない。
 それよりも私にはホテルの部屋の中でやるべきことがあった。それは午後8時45分キックオフのUEFAチャンピオンズリーグ準決勝、FCバルセロナレアル・マドリードのTV観戦である。「なんだよ、それ」なんて言わないでちょーだいね。サッカー小僧なら誰もが見たい夢の舞台、ゴールデンカード。それを、テレビとはいえ、現地時間のライブで見ることができるのだ。「ウィーンのホテルで‘エル・クラシコ’(伝統の一戦)を観戦」これは私にとって旅行初日の重要かつ立派な観光行事なのであった。
 
 ところが・・・。
 
 ホテルに到着したのが午後8時半。キックオフに間に合ったと喜び、「さあさ、チェックイン」と思ったら、レセプションデスクで足止めを食らった。やれやれいきなりトラブル発生だ。どうやら本日このホテルにチェックインした別の日本人で、偶然にも私と同じ苗字の人がいたらしく、その人が私の予約で既に入室してしまったようなのだ。私の名前は鈴木さんとか田中さんみたいなよくある名前ではなく、しかも外国の一ホテルで同姓がいたとはちょっと意外だったが、とにかくそんなことはどうでもいいから一刻も早く部屋に入れてくれと心底願った。チャンピオンズリーグが始まってしまうじゃんかよ、オイオイ。
 
 結局、ロビーで約30分待たされた。試合開始の時刻を過ぎた午後9時、ようやく部屋の鍵をゲット。試合を最初から見られなかったじゃねーかよ、まったく。もしこの間に点が入っていたらどうしてくれるんだよ、ったく。ぶつぶつ言いながら、テレビのスイッチをオン。チャンネルボタンを押し続けて中継局を探したが・・やっていない・・。何度もチャンネルをチャカチャカ変えても放送が見当たらない。ってことはつまり・・・「うっそー!?やっていない!?ここオーストリアではテレビ中継されないのか??」
 
 サッカーのビッグゲームは誰もが見たいと思う優良コンテンツであり、確かに近年は有料放送化されつつある。だが、オーストリア国内放送のみならず、国境を越えてドイツ、フランス、イタリアなどの各国放送中継までも数多く見ることができる多チャンネルのヨーロッパでは、どこかの番組で必ずや見られると信じていたのだが・・・甘かった!!がっくり。
 
 仕方が無いので、たまたま同時刻に録画中継していたオーストリア国内リーグサッカーのラピッド・ウィーンレッドブル・ザルツブルクの試合を見た。「ローカルだなー」なんて思いながらぼーっと画面を眺めていたが、よく見るとスタジアムはめちゃくちゃ盛り上がっていて、熱気ムンムンだった。地元のサッカーファンにとっては、「ローカルだ」なんて迷惑千万、余計なお世話。ウィーン対ザルツブルクこそ、ナショナルダービー、伝統の一大対決なのだろう。
 
 だが、そうは言っても、バルサ対レアルの超豪華な一戦には足元にも及ばないのは厳然たる事実。やがてあくびが出始めて、緩やかに心地良い睡魔に襲われた私は、着替えもせず、テレビをつけっぱなし、室内の明かりつけっぱなしのまま、いつの間にかベッドで寝入ってしまいました。初日終了~。