クラシック、オペラの粋を極める!

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2008/5/4 ケルン市立歌劇場

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2008年5月4日  ケルン市立歌劇場
ヤナーチェク  カーチャ・カバノヴァ
指揮  マルクス・ステンツ
レベッカ・ナッシュ(カーチャ)、ドリス・ゾッフェル(カバニハ)、ダニエル・ヘンリクス(ディコイ)、アルベルト・ボンネマ(ボリス)、ハンス・ゲオルグ・プリーゼ(ティホン)   他
 
 
 トラブルに遭いながらも何とかギリギリ開演に間に合い、ホッとしたわけだが、往々にしてこういう気が緩んだ瞬間に睡魔は襲ってくる。疲れもあるし、まだ時差も解消されていないし、もしそうなったらその時はあっさり軍門に下ろうと思っていたのだが・・・最後までお目目パチクリだった。ロバート・カーセンの幻想的かつ演技的な舞台演出によって、すっかり物語に引きこまれてしまったからである。
 
 舞台は一面に水が敷かれている。(最近、新国立劇場でこういう舞台多いね。)水の上に板張りを橋のように設置して、出演者はその上を渡りながら演技をする。板張りは自由に動かせるようになっていて、場面ごとに動かして並び変える。作業を行う人は黙役の出演者たち。こうした本来登場しない黙役を登場させるのは、ロバート・カーセン演出ではすっかりお馴染みだ。シンプルな舞台の背景に照明を当ててシルエットを作るやり方も同様。板の配置、落ちてしまいそうな水際の危うい演技、黙役たちの動き、これら一つ一つが登場人物の揺れ動く感情を表現する。
 
ロバート・カーセンの演出は、人間関係の描写が色濃いドラマであればあるほど、天才のひらめきが冴えわたる。手法自体は若干パターン化している感がないでもないが、このカーチャ・カバノヴァは物語と舞台と音楽全てが一体となり相乗効果を上げて、名舞台に仕上がっていた。
 
歌手に関しては、カバニハ役のドリス・ゾッフェルが強烈な印象。顔がいかにも鬼の姑で、怖かった(笑)。その他の出演者は小粒だが、アンサンブルは強固。全体として郷愁を誘うようなメランコリックな音楽に仕立て上がって心に染み入った。
 
ところで、このロバート・カーセンの舞台は、場所をマドリードに移したテアトロ・レアルでも上演され、これが録画されてDVDとして発売されている。収録時期はこのケルンの上演後の同年12月なので、おそらく当初から共同製作されたものと思われる。当然ながら(?)、キャストはマドリーの方が揃っている。主役のカーチャはカリータ・マッティラだもんね。残念ながら国内盤ではなく(日本語字幕なし)、私もまだ入手していないが、是非再度見たい舞台なので、そのうち購入しようと思っている。
 
 
 
さて、オペラ鑑賞を終えて、再び移動のためケルン中央駅に戻った。素晴らしい上演にすっかり高揚し、電車トラブルのことなど忘れて気分良く駅に向かったのに、予定の電車は約30分も遅延して、また一気に現実に引き戻された。夜食として車内で食べようと思って買ったSUSHIバーのテイクアウト用巻きずしは超マズかったし。
 
結局マンハイムに到着した時点でもう午後10時半を過ぎていた。
 
初めてのマンハイム。駅を出たが、道がよくわからない。ちゃんと地図を手に持っているにもかかわらず、ホテルの場所が分からない。ここマンハイムは銀座とか札幌のように通りが碁盤の目のようになっているのだが、かえって縦だか横だか分からなくなって方向感覚を失う。
道を尋ねたいが、夜遅いので人影もまばらだ。重いカバンを引きずりながら異国での夜中にさ迷う私。「ドイツだから大丈夫」という何の根拠もない安心感だけが頼り。自転車に乗っていた人を無理やり呼び止めて、片言のドイツ語でホテルの場所を尋ねる。やさしいドイツ人、近くまで案内してくれた。あんた、いい人だ。ダンケ・シェーン。当初はパブにでも繰り出して軽く一杯でも、と考えていたが、さすがに疲れて中止、そのままベッドにバタンキュー。