クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2010/11/22 コンセルトヘボウ菅

指揮  マリス・ヤンソンス
アンナ・ラーソン(メゾ・ソプラノ)
新国立劇場合唱団、TOKYO-FM少年合唱団
マーラー  交響曲第3番
 
 
 指揮者が勝負する時、例えば故郷への凱旋公演だとか、鼻息荒く外来公演に打って出るだとか、栄えある記念公演を担当するだとかそういう時、マーラーを採り上げたくなる気持ちはよおーく分かる。喜びがあり、悲しみがあり、苦悩がある。はっとする美しさがあり、宇宙に広がるような響きがある。ホールを揺るがすようなフォルテシモがあり、輝かしいコラールがある。要するにマーラーは一発ホームランを狙える曲なのだ。ホームランが出れば聴衆は大喜び、ブラボーブラボーの大喝采
 
 そんな中で、安易に1番や5番を選ぶのではなく3番を採り上げるというのは、かなり粋だ。「お!?やるねえ、さすがだねえ、通だねえ」となる。
 
 実を言うと2002年、シャイーと組んで来日したマーラー3番は何を隠そう聴き逃した。海外出張中だった。(もちろん仕事じゃないっすよ) だから今回、マーラーにゆかりがあり定評のあるコンセルトヘボウが再び来日公演で3番をやってくれるというのは純粋にありがたかった。過去に同プログラムによる来日公演があったということをヤンソンスが知っていたかどうかは分からないが、いずれにしても、余程の自信があったものと推測する。
 
 さて、今回の感想であるが、さすが名門コンセルトヘボウ、ズバリ一言「うまい」。ありきたりだが「うまい」。
 
 とにかく演奏前のチューニングで、オーボエが「アー(A)~」と音を出し、続いて各楽器が「ピーヒョロヒョロ」と音を出したその音を聞いて「う、うまいっ!」と唸ってしまったほどである。チューニング音がうまいだなんてなかなかないと思うぞ(笑)。
 
 ヤンソンスの指揮による音楽は、結構手堅かったと思う。聞きながら、「こりゃかなり念入りに作ったな」と感心したが、一方で少々安全運転だった気がしないでもない。まあでもうまかったからいい。何よりも、この曲のスケールの大きさをたっぷりと感じられたので、それで十分。
 
 
 ところで私の席は、ステージ裏側のP席(ネットで貧民席などと言われている)だった。しかもすぐ一列前は少年合唱団が居座った。
 これがもし大人の新国立劇場合唱団だったら、立ち上がった途端に視界が遮られて不満ブーたらたらだっただろう。幸い子供たちだったので、立ってもそれほど邪魔にならず、ホッとした。
 その少年たち、かわいそうに、自分たちの出番まで約1時間もじっと座って待たされる。しかも決して喋ったり騒いではいけない。これは結構きつかったんじゃないかなあ。だいたい、一時間もじっとしていろなんて、子供には無理だよなー。案の定、第一楽章くらいまでは身動きせずにじっとしていたが、2楽章、3楽章と進むに連れて、集中力が切れてキョロキョロし頭を動かし始める子が一人、二人、三人・・・。まあしようがないよな。よく頑張ったよ。「ビム~!・・バム~!・・・」もなかなか良かったぜ!褒めてやるよ!