指揮 インゴ・メッツマッハー
前日はウィーン・フィルだった。新日フィル、こりゃきびしい。圧倒的に分が悪い。比べちゃいけないが、さすがに連日だと歴然とした実力差を目の当たりにしかねない。かたや天下のウィーン・フィル、世界最高のオーケストラだ。
さてと結果は、というと・・・。
どっこい新日フィル、決して負けなかったのである。大健闘の結果、ウィーン・フィルに引けを取らないサウンドを披露したのである。もちろん個々の技量、ソロパートにおいて「も少しがんばりましょう」というのはあった。でも、管弦楽は団体戦ですから。(戦、なのか??)
ご存知アルゼンチン代表は世界的強豪。煌めく才能、眩いばかりのタレント軍団。対する日本はというと、まあその、アレだ(笑)。
ところが結果は、日本の勝ちだった。
どうして日本が勝てたか。いくつかの要因が重なった結果だと思うが、大きかったのは、一つにはイタリアからやってきた新監督効果、そして選手のモチベーションの高さ、ではなかろうか?つまり、指導者の采配によって戦術は変化するし、そびえたつ強豪を前にすれば、選手は「よし、いっちょやってやろう!」と奮起する。
これ、だ。
わたくし事で恐縮だが、学生時にこの曲を演奏したことがある。2ndヴァイオリンだったが、それでもめちゃくちゃ難しくて、演奏するのは本当に大変だった。が、その分やりがいがあり、とにかく燃えに燃えた。ずぶの素人とプロを一緒にするな、と言うなかれ。素人であろうとプロであろうと、マーラーがチャレンジングな大曲であることは間違いないのだ。
事実、新日本フィルの面々の目つきの鋭かったこと!奏者たちのモチベーションは音にはっきり現れた。
指揮者の采配の妙とオーケストラの渾身の演奏の相乗効果によって、時に、期待を大幅に上回る怪演が生まれることがある。この日の新日本フィルがそうだった。
ただ単に上手な演奏を聴きたいだけなら、世界のトップオーケストラの外来公演だけ行っていればいい。でも、私は日本のオーケストラ公演にも足を運ぶ。それは、通っていると、この日のようなぶっ飛び公演に遭遇することが時々あるからに他ならない。(もっとも、滅多に無いんだけどね・・・。)