クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2010/8/7 ニュルンベルク1

 成田発のKLM便は定刻に飛び立ち、順調に経由地のアムステルダムに到着した。さすが信頼度の高いKLMだと思っていたら、乗り継ぎのニュルンベルク行の飛行機が約40分遅延した。仕方がないことなのだが、これだと最初の滞在先であるニュルンベルク市内に入るのが午後11時30分を回ってしまう。一刻も早くホテルに入って長旅の疲れを癒したかったので、ちょっとがっかりした。
 
 深夜のニュルンベルク。週末ということもあってか、長い夜を楽しく過ごしたい酔っぱらいの若者がまだまだ街の界隈をふらついていて、静けさはない。
 予約していた中央駅にほど近いホテル。ここでいきなりトラブルが発生した。(私の海外旅行は常にトラブルとの戦い)
 
予約がキャンセルされていた。いきなり「ノールーム!」と言われた。
 
いやいや、‘飛び込み’じゃありませんってば。ちゃんと予約してありますってば。
レセプションの男性は硬い表情を崩さない。「リザーベーション、キャンセルド。ノー・ギャランティ!」
 
 この日はフライトの時間から夜遅くにチェックインとなることは最初から分かっていたので、ホテルにはきちんと事前にメールでその旨を連絡してある。ホテルからも「OK」との返事をもらっている。だが、そのことをいくら説明しても担当者は頑なに拒む。首を横に振り、手を交差させ、ダメの一点張り。
 
 なんとなく原因が分かった。
 予約時に保証としてクレジットカード番号を提示した。直前キャンセルなどによる損害を回避するため、ホテル側から提示を求められたものだ。
 そのクレジットカードを私は紛失した。即刻カード再発行手続きを行うとともに、従前のカードを無効にさせた。ところがホテルには旧カード番号のままだったのだ。
 おそらくホテルは、レイトチェックインにあたり、改めてギャランティを確保するためカードの有効について調べたのだろう。そうしたら無効だった。即刻予約を一発キャンセルしたというわけだ。「遅くなりますんで、どうぞよろしく頼みます」などといった連絡メールはいとも簡単に反故にされたわけだ。
 
 このホテルの対応については結構ムカついたが、原因が推定ながらも分かった以上、これ以上の押し問答は不要だと思った。こういう時、欧州人、特にドイツ人は絶対に態度を軟化させないことを経験として知っている。
 
 今回の旅行の同行者であるOくんに事情を説明し、別のホテルを探すべく深夜のニュルンベルク市内を当てもなくさまようことに。こんな悲しいことがありましょうか・・・とほほ。
 
 とにかく、近くのホテルを一軒一軒当たるしかない。一軒目は満室で断られ、二軒目で「一部屋だけ空いている。ただしスイートルーム。」と言われた。一瞬迷ったが、これ以上さまようのは嫌だったので、多少高かったけどそこに決めた。スイートといっても、所詮は三ツ星ホテルなので、特別豪華というほどでもない。ルーム内に壁も隔てずにドカンとバスタブがあって、なるほどこれが「スイート」の意味かと思ったが、男二人の旅行では余計な物でしかない。
 
 深夜0時過ぎにようやくホテルに入ることができたわけだが、いきなりのトラブル発生に気が滅入り、疲れが倍増した。同行のOくんにも迷惑をかけて申し訳なかった。想定外のことに戸惑ったことだろう。
 だが、こういう時、今回に限らずいつもそうだが、Oくんは決して表情をこわばらせない。絶対に嫌な顔をしない。すべてを受け入れ、許してくれる。寛容なのだ。その大きな態度に私はいつも救われる。
 
ようやくベッドで寝られます。お休みしましょかねー。
するとOくん、「ちょっとさあ、軽く一杯飲みに行かない??」
見ると、その表情は、ドイツに着いた喜びでウキウキしている。ホテルのすぐ階下にバーがあったのもそんな彼を刺激したようだ。
 
あのさー、君は疲れていないのかい??もう0時を過ぎているんだよ??
「いや、軽く一杯飲んだほうがよく寝られるってばさ。」
彼はあこがれのドイツビールが眼前にぶら下がって、疲れどころではないようだ。
はいはい、分かったよ。お付き合いしますよ。
 
そういえば、前回の旅行で、電車トラブルでウィーン着が大幅に遅れ、ようやくオペラに間に合うギリギリでホテルに到着した後、「ザッハートルテが食べたいな」とこぼした人間だったわい。
 
果たして彼は寛容で大きな人間なのか、それとも単に能天気な人間なのか?(笑)