クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2010/7/17 二期会 ファウストの劫罰

2010年7月17日  二期会  東京文化会館
ベルリオーズ  劇的物語ファウストの劫罰
指揮  ミシェル・プラッソン
演出  大島早紀子
舞踊  H・アール・カオス(メインダンサー 白河直子)
管弦楽  東京フィルハーモニー交響楽団
福井敬(ファウスト)、小泉詠子(マルグリート)、小森輝彦(メフィストフェレス)、佐藤泰弘(ブランデル)  他
 

 大学時代にラコッツィ(ハンガリー)行進曲を演奏したこともあって、この曲を初めて聴いたのはかなり早めだった(当時、まだオペラに興味が湧く前だった)のだが、これがなかなか手強い相手だった。
 まず、場面展開がどんどん飛躍するので、簡単についていけない。次に音楽も、耳馴染んで聞きやすいところと、訳が分からないところが混在していて、なかなか掴めない。これらの印象は、何を隠そう今でもそう変わらない。数年前にサイトウキネンフェスティバル(松本)で実演されたが、その時も十分楽しめる自信が持てなくてチケットを買うのを断念したのだ。
 
 今回、この公演に行こうと思ったのは、当時よりは自分の作品理解が進んでいることに加えて、フランスの大御所プラッソンの指揮、そして現代舞踊のパイオニア大島早紀子が演出するという「文句あっか!?」の堂々二枚看板だったから。
 
 実際のところ、大島さんの起用は大正解だと思う。数年前にR・シュトラウスのダフネを演出し、ダンスと音楽を見事に融合させ、オペラに新たな風を吹き込むことに成功した。元々コンサート形式上演を想定して作られた作品で、舞台上演にはやや難があるわけで、その穴を埋めるのに、H・アール・カオスのアッと驚く踊りはうってつけだ。
 ただ、欲を言えば、ダンスと音楽を融合させた上で、その先にあるものは何かというところまで迫って欲しい。確かにダンスが加わることによって舞台は化学反応を起こす。しかし見た目だけの悦びで終わってしまっているのが惜しい。
 
 プラッソンの音楽は、さすがとしか言いようがない。個々の場面で緊張感を生み出しながら、全体としては大らかで泰然とした絵巻物を創り出した。東フィルも良かったと思う。
 
 歌手については、突然の代役となった小泉詠子さんが大健闘。
 二期会のエース福井さんは・・・福井さんいつも歌いっぷりが同じなんだよねー(笑)。何歌っても同じなんだよなあ。イタリア物でもドイツ物でも・・・。日本のトップテノールであることは認めるけど、どうもそこで留まっているような気がしてならない。
 長友選手みたいに飛躍を求めてイタリアプロリーグにでも移籍してみたらいかがですか?