クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2010/4/27 フィラデルフィア管

 

 総じて「テクニックがあって音量も大きく華麗なサウンド」が特色のアメリカのオケの中でも、このフィラ管は屈指。その輝かしい響き自体が「ああ、フィラデルフィアの音だな」と思わせる老舗の管弦楽団だ。
(オケの顔ぶれを眺めても、若い人も多いし東洋系も多いのに、それが単なる「一流奏者の寄せ集め軍団」ではなく、まとまりと伝統を感じさせることが出来るのは、フィラデルフィアの名門音楽院「カーティス」出身者が多いからであろうか・・・。)
 
 そんな優秀なオーケストラの音楽監督デュトワはまさに適任、理想的な組み合わせだと思う。しっかりとオケを操り、バランスを整えながら音楽を調理することができる超一流シェフである。
 この日は、そんな理想のコンビの集大成を聴くことが出来るまさに絶好のプログラム。結果は分かりきっていて、火の鳥春の祭典も仕上がりは完璧、実に聴き応えがあった。
 
 デュトワはいつものN響の時よりも、一段と振り回している感じがした。そりゃ誰だってあれだけ高性能でハイパワーのオケを手中にすれば、ガンガン鳴らしたくなるだろうさ。
 
 ストコフスキーオーマンディムーティといった輝かしい歴史を経て、今ここにデュトワを得て再び黄金期を迎えようとしているフィラデルフィア管。是非レコーディングも積極的にやってほしい。きっと新たな名盤が増えるに違いない。
 
 ところで、聞くところによると、売れ行きの良かったもう一つのプログラム、アルゲリッチのドタキャンにより払い戻しキャンセルが続出したとのこと。私の場合、仕事の都合と旅行直前ということでもともと購入しなかったが、仮に行くことにしていたとしても決してキャンセルはしなかっただろう。「アルゲリッチのリサイタル」ではなく、あくまでも「デュトワ&フィラ管」のコンサートなのだから。
 そりゃもちろんアルゲリッチが出演すれば一期一会だったと思うが、そうでなくてもこの華麗なサウンドを聴けば、聴いたお客さんはきっと満足したんじゃないかな。