クラシック、オペラの粋を極める!

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2010/3/27 新国立 神々の黄昏

2010年3月27日  新国立劇場
ワーグナー  楽劇ニーベルングの指環より第3夜「神々の黄昏」
指揮  ダン・エッティンガー
演出  キース・ウォーナー
クリスティアン・フランツ(ジークフリート)、イレーネ・テオリン(ブリュンヒルデ)、島村武男(アルベリッヒ)、アレクサンダー・マルコ・ブルメスター(グンター)、ダニエル・スメギ(ハーゲン)、横山恵子(グートルーネ)  他
 

 一夜明けた今日も、超大作を制覇した後の大きな満足感と充実感に浸っている。
 壮大かつ圧倒的なスケールを持つニーベルングの指環新国立劇場が天才K・ウォーナーを得て世界に向けて発信した‘トーキョー・リング’。この再演チクルスがついに完結を迎えた。
 再演にあたっては様々な困難があったとの話を聞くが、これらを見事に乗り越えてやり遂げた劇場のスタッフや演奏チームの方々には、心より拍手を送りたい。私も最後まで無事に見届けられて、実に感慨深い。
 
 ブリュンヒルデのイレーネ・テオリン。彼女こそが、成功の最大の功労者だ。
 芯の強い声、美しく凛とした立ち姿。
 第2幕で裏切りと偽りの誓いを告発する場面では緊張感がひしひしと伝わった。
 そしてもちろん最後の自己犠牲のアリア。私は完全に打ちのめされてしまった。
 全聴衆の視線がブリュンヒルデ一人に注がれる中、約15分間の絶唱で、彼女は聴衆の心を鷲掴みにして束ねた後、そのまま焼却炉へ消えていった。指環の呪いや怨念を浄化し、ジークフリートやヴォータンの魂を救いながら、さらには全ての聴衆が抱くこの作品に対する熱い想いまで一緒に天国にいるワーグナーに届けてくれたのだ。
 
 (来シーズンのイゾルデが本当に楽しみです。あと、今年8月ザルツブルクエレクトラを聴く予定で、それも待ち遠しいです。)
 
 もちろん、ジークフリートのC・フランツをはじめとする他の歌手もみな一定水準を確保し、立派だった。オペラはやはり素晴らしい歌手が揃うと完成度が高まる。
 
 ダン・エッティンガー指揮する東フィルもよく頑張った。大健闘だ。
 エッティンガーに対していくつかブーイングが飛んでいたが、確かに間の取り方、テンポの捉え方などにクセがあったものの、東フィルの力を最大限に導き出しており、それは酷というものだろう。こんなにも大作で難曲で滅多に上演されない物を一生懸命頑張って提供してくれたのだから、讃えてあげればいいのにな、と思うのだが。

 演出については、これまでの三作と同様、沢山の仕掛けがあって実に面白かった。舞台で起こっている事、舞台の上に乗っている物については全てに意味があったと思う。
 
 次回、私なりの解読をやってみようと思う。