クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

メトでのエトセトラ

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〈その1〉
 劇場内に素敵な場所を見つけた。エントランスを抜けて階段を下りたところ。カフェラウンジに、壁一面、メトロポリタンオペラを彩る現役、あるいは歴代のメトで活躍した往年のアーティストのポートレイトが所狭しと飾られている。とても数え切れないが、数百枚はあろう。世界一流の歌手、指揮者、演出家の写真がずらっと並ぶその様は壮観の一言で、世界最高オペラハウスの一つであるメトの華やかさと伝統をひしひしと感じる。

 素顔の写真だったり、あるいは出演した衣装を着た役としての写真だったり、若くてきれいな大昔の写真だったり・・・。私とKさんはその一つ一つを眺めながら、「あっグルベローヴァだ!」「ほらあそこクライバー!」「ドミンゴ、若い!」「マーラーまであるよ!」などと感嘆をあげる。
 私は、というと、敬愛する女神H・ベーレンスをひたすら探す。そして発見。微笑んでいるそのお顔が大変に美しい。彼女はここニューヨークにも家を持っていた。メトにおいても、なくてはならない存在の歌手だったのだ。

 日本人はたった二人。もちろん小澤征爾さんと、それから大野和士さん。(ポートレイトではなかったが、別の小部屋に歴代の蝶々夫人のプロダクションの写真が飾られていて、そこに渡辺葉子さんの写真もあった。)

 幕間休憩のひととき、ドリンクで一息つくのもいいが、メトの歴史をこうやって眺めて過ごすのも素敵だ。


〈その2〉
 ばらの騎士の公演にて。
 私の右隣に座った人は、サンフランシスコからやってきたというご婦人。客席で、いきなり私を含むお隣さんや付近の人達に「サンフランシスコのお土産をどうぞ!」といって、小物とボールペンをプレゼントを配っていた。たまたま近くに着席しただけなのにプレゼントだなんて、その社交的態度にとても驚き、感心した。いただいたボールペンをよく見てみると、なんとそこには「San francisco symphony=サンフランシスコ交響楽団」のロゴが。イキなプレゼントだ!と再び感心。

 そして左隣に座った人(やはりご婦人)ともお話をしたんだけど、なんとはるばるイスラエルから来たんだって。私が「東京から13時間くらいかけて来た」と話したら、「イスラエルからもそれくらいかかったわよ。」とのお答え。お互いお疲れさまでした。イスラエルフィルハーモニーのコンサートにも時々行かれているとのことでした。


〈その3〉
 トゥーランドットの公演にて。
 開演の10分前くらい、客席に向かおうとロビーを横切ったら・・・。

 なんと、前日、カルメンに出演したバルバラ・フリットリがそこにいらっしゃった!!
 旦那であるバリトン歌手ナターレ・デ・カロリスと一緒。

 私はお二人に気付いた瞬間、体がビクッと反応した。ただ、こっちがあからさまに驚いたら、お二人だって驚くし警戒するだろう。
 とりあえず私は気持ちを落ち着かせて、何事もなかったかのようにその場を素通り。通り過ぎてコーナーを曲がった瞬間、私はバタバタ慌てながら、自分のバッグの中をがさがさと探し出す。

「紙!紙っ!かみ~っ!!!」 もちろんサインをもらうためだ。
「かみ~!!かみ~!!」

(なんか、急にもよおしちゃって公衆トイレに駆け込んだみたいだな・・)

 しかし適当なのがないんだ、これが。当たり前だ。カバンに色紙なんか入っているわけないっつうの。ねえ。

 しようがない。体裁は悪いが、持ち歩いているダイアリー手帳にお願いしよ。しかもボールペンで。やむを得ない。

 ここで私は戦略を立てる。
こちらが欲しいのは、フリットリ様のサイン‘だけ’だ。
 だが、旦那と一緒にいるのに、旦那そっちのけで奥様にサインをねだったら旦那は良い気がしないだろう。奥様はひょっとすると、旦那の手前「ご勘弁」と断ってくるかもしれない。

 ここはまずデ・カロリスを先に攻めるのが得策だ。旦那も悪い気しないだろうし、旦那がしてくれたら奥様は絶対してくれるに違いない。

 作戦大成功!

「ミスター・デ・カロリス、よろしければサインをいただけませんでしょうか?(本当は別にいらないんだけど・・・)」
「ええ、もちろんいいですよ。」(よっしゃ!)
「ミセス・フリットリ、あなた様のもいただけますか?」
「ええ、もちろんいいですよ。」(よっっっっしゃああああ!!!)
「サンキュー、サンキューベリーマッチ!」(おっと、「グラツィエ・ミッレ!」くらいのイタリア語がどうして出てこないんだよ?まったくもう)

 4枚目の写真。左側がデ・カロリスの、右側のマルっこいのがフリットリのサインです。両方とも全く解読不能(笑)。
 でも、記念になりました。ありがとうございました。