クラシック、オペラの粋を極める!

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2009/12/20 死の都

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2009年12月20日  フランクフルト歌劇場
コルンゴルト  死の都
指揮  セヴァスティアン・ヴァイグレ
演出  アンセルム・ウェバー
クラウス・フロリアン・フォークト(パウル)、タチアナ・パヴロフスカヤ(マリエッタ/マリー)、ミヒャエル・ナジー(フランク/フリッツ)、ヘドヴィグ・ファスベンダー(ブリギッタ)  他


 20世紀の隠れた名作品、死の都。ナチスによって‘退廃芸術’の烙印を押され、危うくこの世から捨て去られるところだったが、その作品の高い品質によって見事に後世に残った。

 そうは言っても、まだまだ欧州でさえ通常の上演レパートリーにはそう簡単に入らない。ましてや日本で上演を待っていたら、いったいいつ聴けるのか、いつ観られるのか・・・果てしなく分からない。(ひょっとして若杉さんが生きていたら、そのうちやってくれたかなあ。)

 そんなわけで、私はこのフランクフルトの新演出上演に飛びついた。逃すべからず、ということである。

 上演として大成功の部類に入ったと思う。
 まず、指揮者ヴァイグレのタクトが冴えわたっている。熱気があり、ダイナミックで風格もある。音楽は色彩に溢れ、音量的に鳴り響かせるツボも申し分ない。おなかいっぱいの満足感、充実感を与えてくれた。日本ではほとんど無名だと思うが(バイロイトマイスタージンガーを振っている)、もっと名が知れて良いマエストロだ。

 演出もなかなか粋だ。物語を‘パウルの夢想’として捉え、死への憧憬と現実との狭間を見事に描ききっている。

 歌手では、今やドイツ系テノールのスターに成長したK・F・フォークトが熱演。私は2年前にウィーン国立歌劇場の死の都で、彼のロール(役)デビューを観たが、それよりも一段とうまくなっている。演技も迫真で、観客を引き込む力がある。

 それにしても、最近のフランクフルト歌劇場の充実度は目を見張るばかりだ。聞こえてくる評判も非常にいいし、実際に観たプロダクションも優れた物ばかりだ。支配人かインテンダントが意欲的で優秀な人に替わったのかもしれない。