2009年11月1日 フランス国立リヨン歌劇場 オーチャードホール
マスネ ウェルテル(演奏会形式)
指揮 大野和士
ジェームズ・ヴァレンティ(ウェルテル)、ケイト・オールドリッチ(シャルロッテ)、リオネル・ロート(アルベール)、アンヌ・カトリーヌ・ジレ(ソフィー) 他
大野和士に盛大なる拍手を!最大級の賛辞を!
大野はこのオペラを完全に掌握している。どこがピークで、どこにタメが必要なのか、全てをコントロールしている。タクトさばきは冴えに冴えわたって切れ味抜群。大野がえぐるマスネの音楽から、瑞々しい旋律が次から次へと露わになる。
国立歌劇場管弦楽団のやる気も満々。気合い入りまくりで大野のタクトに応える。「ここはいっちょマエストロの凱旋に花を添えてあげましょう。任せなさいって。」そんな熱意がひしひしと伝わる。
一昨年のブリュッセル・モネ劇場のウェルテルよりも音楽の完成度において圧倒的に上回った。フランス第2の歌劇場の力を得て、マスネの芸術の頂点を築いたと言って良い。
惜しむらくはタイトルロール。J・ヴァレンティは残念ながらまだ青い。この役に誰か別の適材を見出すことが出来ればどんなに凄いことになっていたか。
それでも、この公演が2009年日本のクラシックコンサートのハイライトの一つになるのは絶対に間違いない。