2009年10月28日 NHK交響楽団定期演奏会 サントリーホール
指揮 アンドレ・プレヴィン
モーツァルト 交響曲第38番、第39番、第40番
Aプロを聴いて、この日の公演が「名演になる予感」がした。その時はそう思った。
だが、その予感は裏切られた。
もちろん、良い演奏か悪い演奏かの明確な基準はない。ゆえに、わたくしごときが「駄演」と烙印を押すのは憚る。要するに、自分の好みに合うか合わないか。
私が、自分の好みの演奏をそれこそ勝手に期待し、その期待から外れただけなのかもしれない。
だが、それにしても・・・。
私が感じたこの日のプレヴィンのモーツァルト。
背中が丸まり、こぢんまりとしたオールド・モーツァルトだった。お年寄りのひなたぼっこのようなモーツァルトだった。その音楽は、まさしく足腰が弱って指揮台の上り下りが大変なプレヴィンの容姿そのまんまだった。
もともとのプレヴィンの音楽スタイルがそういうのだったら、それはそれでいい。だが、一昨年に同じくN響で聴いたモーツァルトに比べて品質が落ちていたし、今回の他のプログラム、例えばショスタコーヴィチ5番の奥深く踏み込んでビルドアップさせた解釈と比べると、明らかに「よっこらしょ、もう疲れたからこれで勘弁ね」という印象なのだ。
この日の他の聴衆は果たしてどう思ったのだろうか。
熱心に拍手していた人達は、良いと思ったのだろうか。
それとも、名指揮者プレヴィンの生を体験できたということで十分満足したのだろうか。
あるいは「プレヴィンなんだから間違いない」とありがたく頂戴したのだろうか。
やっぱり、私が勝手に期待し、単にその期待から外れているだけなのだろうか・・・。