昨日の続きで~す。
我々はミュンヘンからウィーンに向かって電車に乗っていました。なのに、電車はどういうわけかウィーンから離れるかのように進んでいます。さて、ここで問題です。いったい何が起こったのでしょうか?
なんて、今だからおもしろおかしく書いているが、その時は焦ったあせった。
すぐに頭の中をフル回転させ、何が起こっているのかを考えた。
最悪のパターンは、行き先が急遽変更になったが、我々は警告の車内アナウンスが理解できずに乗り換えそびれたという事態。
私は立ち上がって他の乗客に聞いた。「この電車、ウィーンに行くのですか?」
乗客は一言「Ja」(ヤア 行きますよ)。
どうやら最悪のパターンではないようだ。
ついでにその人にいったい何が起こっているのかを聞こうと思ったが、こういうハプニング時に必要な語学力は、レストランに入る時とは訳が違う。なのでやめた。それに、何となく呑み込めてきたぞ。
ミュンヘンとザルツブルクを結ぶ間のどこかで事故が発生し、まっすぐザルツブルクに到着することが出来なくなった。このためぐるっと大きく迂回をしているのだ。横浜から東京に行こうとしたら、事故のため、迂回で横浜線・中央線八王子経由の各駅停車で東京に行くみたいな感じか。もうちょっと規模は大きいが。
な~んだ、そういうことか。よかった~。はいはい、オッケー。万事了解・・・・
って、よくな~いっ!!いったいウィーンに何時に着くんだ!?
そうだ、思い出したぞ、車内アナウンス。「ドライ・シュテュンデン・シュペーター」
3時間遅れだ!3時間・・・ゲゲ~。
当初のウィーン着予定が14時。3時間遅れだと17時。コシ・ファン・トゥッテの開演が午後7時・・う~む。微妙だ。
このままなら間に合う。だが、今はハプニングの真っ最中だ。3時間遅れの予定が更に延びて4時間遅れになることは十分考えられるのだ。
「わたくしはムーティのコジを聞くためにわざわざやって来たのであります。これ以上遅れないでください。神様、お願いしますっ!」
ってこっちは必死に祈っているのに、相棒のO君ときたら!
迂回によってチロル地方を廻ることとなり、期せずしてありつけることになったチロルの美しい山々の車窓を楽しんでやがる。途中停車の駅で外に出て、「空気がおいしい!」なんて言いながらうまそうにタバコ吸ってやがる。信じられねえ呑気なヤツだこのやろー。せっかくのおいしい空気にニコチン含んだ煙を混ぜたらうまくなかろうが。(上の写真はそんな呑気なO君が電車内から取ったアルプスのワンショット)
やっとザルツに到着。
やはりと言うか、遅延は更に延びて予定より3時間半が過ぎている。「いよいよやばいか」と思ったら、その後本来の運行に戻って列車は急行らしく飛ばし始めた。ザルツ以降は遅れが生じることはなく、私もようやく「大丈夫かなあ。」と落ち着いてきた。
午後5時半にウィーン西駅に到着。ホテルに午後6時にチェックイン。ふえ~、8時間もかかったぜよ。疲れたぜよ。でも開演には間に合う!それが何より。
安堵したので、「コーヒーでも飲みに行こうか!」と誘ったら、甘党のO君は「ザッハートルテを食べたい」だって。本当に脳天気なヤツだ(笑)。
さて、次はいよいよムーティ&ウィーン国立歌劇場のコシ・ファン・トゥッテをレポートするぞ!日本公演は間近に迫っている。請うご期待!