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2008/10/13 ローザンヌ歌劇場 カルメン

2008年10月13日 ローザンヌ歌劇場 東京文化会館
ビゼー作曲 カルメン
指揮 シリル・ディーデリッヒ
演出 アルノー・ベルナール
ベアトリス・ユリア・モンゾン(カルメン)、ルーベンス・ペリッツァーリ(ドン・ホセ)、ミコワイ・ザラシンスキ(エスカミーリョ)、ブリギッテ・フール(ミカエラ)他


 知名度がそれほど高くない歌劇場が来日公演する場合、招聘元はどうやったら上手に売り込んでチケットを捌けるかを考える。選曲もチケット料金も大事だが、もっとも手っ取り早いのは、名の通った一流スター歌手を‘看板’として連れてくることだ。名が通ってさえいれば、一人で十分。

 ただし、これにはリスクが伴う。スターは突然降板してしまうのだ。理由はもちろん「病気」。間違いないだろうし疑いたくもないが、契約上の不手際だのスターのご機嫌斜めだの指揮者や演出家との衝突だのであっさり降りてしまうというイヤな噂を耳にする。本当のところは我々には分からない。

 「世界を席巻するカルメン歌い ドマシェンコ!」の宣伝文句に釣られ、戦略にハマって私はチケットを買いました。そしたら降板。新国立のカルメンに続いて二度目だ。こんにゃろめ。
 ここで「誰やそれ?知らね」という歌手に替わると、我々マニアはブタになる。ブーブー。

 ところがローザンヌはなかなかやる。「ほー、そうきたか。」という代役を用意した。ベアトリス・ユリア・モンゾン。同様にカルメン歌いとして名高い。4年前に藤原歌劇団オランジュ音楽祭共同演出公演)のカルメンで来日予定をキャンセルしてガッカリさせた彼女、まさに捲土重来の初来日だ。

 最初に「知名度が高くない劇場の場合」なんて書いたが、失礼な話で申し訳ない。ローザンヌ歌劇場はスイス・フランス圏の名門劇場だ。特にバレエ界において、国際コンクールの名と共に誉れ高い。

 昨日の公演も、その名に恥じぬ素晴らしい公演であった。ドマシェンコのことなど吹っ飛んだ。

印象的なシーンが多かった。
華やかな闘牛の裏の一面を見せるかのように、闘牛士が静かに準備を整えたり、祈ったりする場面。
第4幕の闘牛士の入場をエスカミーリョの室内から外を見渡すように裏返した場面。
そのエスカミーリョの部屋の中でも、カルメンが最後までカードで運命を測っている場面。
ラストのカルメンとホセの対決を第1幕のタバコ工場前にして出会いの場と同じにした場面。


静と動のコントラストをくっきり作り、シンプルな舞台の中に十分計算しつくして人を動かす演出はとても好感が持てた。

 それにしても改めて思ったが、本当にカルメンって親しみやすいメロディのオンパレードだ。人気があって当然だよな、って思う。

 公演に一緒に行った友人はそんなカルメンだ~い好き。どちらかと言えば上級コースの難しいオペラを好む私も「俺だってカルメンだ~い好き!」と言うと、友人はちゃんとそれをジョークと分かってくれて大いにウケてくれる。いいヤツだ。