クラシック、オペラの粋を極める!

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2009/7/20 小澤征爾音楽塾 ヘンゼルとグレーテル

2009年7月20日 小澤征爾音楽塾オペラプロジェクト  神奈川県民ホール
フンパーディング ヘンゼルとグレーテル
指揮 小澤征爾
演出 デヴィッド・ニース
小澤征爾音楽塾オーケストラ
カミッラ・ティリング(グレーテル)、アンゲリカ・キルヒシュラーガー(ヘンゼル)、ロザリンド・プロウライト(ゲルトルート)、ヴォルフガング・ホルツマイアー(ペーター)、グラハム・クラーク(魔女)他


 小澤征爾の下に集った若手の俊英に、ところどころソリスト級の先生を配して出来上がった音楽塾プロジェクト。今回が10回目らしいので、それなりに築かれた伝統と成果があろうというもの。
 名前のとおり‘塾’ということで、あくまでもこれが「教育・アカデミーの場」というのなら、長い目と大らかな目で見てあげようと思う。
 だが、「小澤」というブランドを冠し、それゆえ高い価格が設定された公演である以上、こちとらあくまでも「プロ公演としての質」を問わざるを得ない。それは小澤氏自身の音楽、オケ、演出、歌手等の全ての質だ。

 で、この公演の結果をみてみよう。

 まず小澤の音楽。まじめである。ドが付くまじめさである。もちろん曲にもよるが、このヘンゼルとグレーテルなんかは、もっとオープンに楽しく軽やかにやっていいと思う。はっきり言って固い。そして重い。

 次にオケ。みんな一生懸命世界のオザワにくらいついて演奏している姿は微笑ましい。美しく鳴り響いた箇所も多かったが、一方でアンサンブルとして未熟なところ(特に金管)が露呈した場面もあった。今後の東京公演などで上演回数をこなすにつれて改善していくのであろうか?

 演出。私はこの演出家が好きではない。最初から期待度ゼロ。問題外。今回の演出についてもコメントをしようと思えばできるが、100%苦言になってしまうのでやめる。無視。

 最後に歌手。このオペラに求められるワクワクさやメルヘンチック。指揮やオケで醸し出せなかった分を、この人がたった一人で補ってくれた。その名もグラハム・クラーク。世界最高級のキャラクターテノール、いまだ健在。
 そもそも、目玉の一人だったバーバラー・ボニーが落ちた時点で、私の関心は彼に絞られたが、見事に期待に応えてくれた。今回の公演は彼が救ってくれた。ちょっとミーメみたいだったが、それがまた笑えた。

 最後に、音楽塾の講師陣でもあるフルートのK氏が、自らは演奏せずに、ピットの中のフルートパート内に陣取って、きちんと演奏をしているか目を光らせていた。こわ~。本番くらい自由に解放してあげればいいのに。そんなだから、音楽がメルヘンから遠ざかってしまうんだってば、さ。