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N響の新コンサートマスター

NHK交響楽団が新しいコンサートマスター就任を発表した。長原幸太氏である。
2025年4月からスタートとのことだが、先立つ形で挨拶代わりに先日のB定期演奏会(1月30日、31日 @サントリーホール)でコンマスとしてステージに立ち、オーケストラを引っ張った。

「やっぱりなー」というのが率直な感想。そうだと思ったよ。
読響のコンマスを退任した時、「ん?? もしかして次はN響か??」とすぐに思った。
優秀なヴァイオリニストであることは疑いようもないが、だからといって「読響を辞めてソリストへの道」というイメージはなぜか沸かなかった。それくらい長原さんはコンマスのイメージが強い。

キャリアとしては、大阪フィルと読響のコンサートマスター履歴が光っているが、インパクトがあるのは、特別編成である東京春祭オーケストラのコンサートマスターを担っていることだろう。そこで、毎年振っているリッカルド・ムーティから一目置かれ、厚い信頼を寄せられている。
春祭オケの公演で演奏が終わると、カーテンコールの際、毎回ムーティコンマスの長原さんに自ら握手を求め、にこやかに一言二言ねぎらいの言葉をかけている。何を言っているのかは聞こえないが、「素晴らしい演奏だった。どうもありがとう。」みたいなことを話しているのは間違いない。

10年くらい前の話だが、マエストロ・ムーティが情熱を注ぐ若い音楽家のためのアカデミーで、東京春祭オケとイタリアのオーケストラ(ルイジ・ケルビーニ・ジョヴァンニーレ管弦楽団)の合同演奏会が、双方の国で開催された。
そのイタリア開催時の出来事で、ムーティは当初イタリア語を使ってリハーサルを進めていたという。参加した東京春祭オケのメンバーの多くは、イタリア語を理解しない。
エストロの指示が日本人に伝わらず、それによって演奏に影響が出るかもしれないと判断したコンマス長原氏は、すかさず巨匠に「英語でお願いします!」とビシッと進言したとのこと。
このエピソードを何かの記事で見た時、「さすが日本代表コンマス、グッジョブ!」と私は思ったのであった。(まあ、当たり前のことをやっただけかもしれないけど)


N響の話に戻すと、第一コンサートマスターとしては、先行して昨年に就任した郷古廉氏とのツートップとなる。(ゲスト・コンマスを含めると、川崎洋介氏を加えた3人体制)
郷古さんは、昨年だったか、東京春祭オーケストラのムーティ指揮の公演で、コンマスとして参加していたっけ。
また、2022年の東京・春・音楽祭の室内楽シリーズで、郷古さんと長原さんはバルトーク作曲「2つのヴァイオリンのための44の二重奏曲」を一緒に演奏している。
ということで、以前から縁というか、繋がりがあったのだ。
「いつか一緒にやろうぜ」と密かに話し合っていたかどうかは知らないが。
(もっとも、第一コンサートマスター同士だと、一緒に演奏する機会は限られてしまうわけだが)

いずれにしても、N響は二人の新たなリーダーシップによって、さらなる進化を遂げていくことだろう。期待したい。