ウィーンからドレスデンへ移動。
直行便がないため、一旦ベルリンに飛んで、そこから電車に乗り換える。空港駅からそのままドレスデンへの直行電車に乗ることが出来たのは、良かった。
ドレスデンには今回3泊滞在する。この日は移動のみで観光無し。
そういうことで、さっそく夜の公演について。
2024年10月31日 ゲオルグ・ツェッペンフェルト 歌曲リサイタル 会場:ザクセン州立歌劇場
ゲロルト・フーバー(ピアノ)
シューベルト さすらい人、白鳥の歌
ブラームス 歌曲集 他
ドイツ・オペラ界のバス役で、ルネ・パーペと並びトップランナーを務めるツェッペンフェルト。
日本では、来日回数の多いパーペの方がきっとお馴染みで、人気もあるんですかねぇ・・。
ドイツでは、その活躍度においてパーペに引けを取らないし、歌唱のタイプとして私はツェッペンフェルトの方が好きだなー。
ワーグナーでは、マルケ王(トリスタンとイゾルデ)、ヘルマン(タンホイザー)、グルネマンツ(パルジファル)、ハインリッヒ(ローエングリン)、ダーラント(さまよえるオランダ人)などの諸役で圧倒的な存在感を示し、近年はついにハンス・ザックス(ニュルンベルクのマイスタージンガー)に到達。その充実ぶりは、まさに円熟の極みにあると言っていい。
彼の声楽的な特徴は、端正であること。そしてノーブル。歌唱は安定して揺れず、音楽の中で綺麗に整っている。声だけを聴くと単にスマートという感じだが、立ち振舞いや表情などによって、更に豊かな膨らみを構築、独特のオーラを放って会場に雰囲気をもたらすのがポイント。
きちんと前半のシューベルトと後半のブラームスとで、歌い方や表現に変化を付けていて、工夫の跡が伺えたし、声とピアノの融合を図って、声楽曲として作品を尊重する姿勢も見せて、とても好印象であった。
話は変わるのだけど、歌手がリサイタルを催す時、本公演のような「歌曲の夕べ」か、もしくは「オペラ・アリアの夕べ」かになる。
オペラ・アリアの場合だと、オーケストラ伴奏になることが多いのだが、その際、プログラムの中に頻繁にオーケストラ単独演奏曲が挟まれる。下手をすると「オケ曲」→「アリア」→「オケ曲」→「アリア」「アリア」→「オケ曲」→「アリア」・・・・みたいに半分近くオケ曲が占めることもある。
これ、結構うんざりなんだよねー。
だって、こっちは歌手を聴きに来ているわけだからね。
それに比べて、歌曲の夕べだと、そういうことはなく、歌手はほとんど歌いっぱなしだ。
今回のツェッペンフェルトも、途中でピアノの単独曲を挟むことなく、最後のアンコールまでずっと歌い通しだった。
逆に言うと、オペラ・アリアの方がそれだけ大変で、喉を疲労させるということでもあり、まあ理解はするけどね。それでも、いつもモヤモヤしてしまう。
しかも、たいていオペラ・アリア公演の方がチケット代が高いのだ。
その意味で、こうした歌曲の夕べというのは、何だかとってもお得な感じがする。