2024年7月27日 ベルカント・オペラ・フェスティバル・ロッシーニ1 トリンクハレ
ロッシーニ オリー伯爵
指揮 アントニーノ・フォリアーニ
演出 ヨッヘン・シェーンレーバー
管弦楽 ヴュルテンベルク・フィルハーモニック・オーケストラ
パトリック・カボンゴ(オリー伯爵)、ソフィア・メチェディシュヴィリ(アデル)、ナサナエル・タヴェルニエ(伯爵の教育係)、ディアナ・ハッラー(イゾリエ)、ファビオ・カピタヌッチ(ランボー)、カミッラ・キャロル・ファリアス(ラゴンド)、大田原瑶(アリス)
会場のトリンクハレは、ホールというよりは催場。オーケストラピットもなく、さすがに「こんな所でやるんだ・・」と驚いてしまったが、演奏が始まったらそんなことは見事に吹っ飛んだ。舞台に夢中になり、演奏に聴き入り、音楽を楽しんだ。そこに、紛れもなくロッシーニのブッファがそこにあったからだ。
いやー、楽しい。Viva!ロッシーニ。最高だ。
さすがロッシーニの名前を冠した音楽祭。「ここはペーザロか?」と思ってしまったくらい。
ブレゲンツの「タンクレーディ」の感想記事にも書いたとおり、ロッシーニ上演ではとにかく歌手が鍵になるが、実に上出来だ。彼らは国際的にはもちろん無名かもしれない。だが、実力はしっかりと備わっており、歌唱力において何の不足もない。
そして、皆一様に演技が上手い。この演技力というのも、ロッシーニ上演に必要な要素。ペーザロに行くと、出演者の熟達した演技が見られるが、それがここバート・ヴィルトバートにもあったのは嬉しかったし、発見だった。
よくよく考えれば、このバート・ヴィルトバート音楽祭での公演は、これまでに何度も収録され、映像化、CD化されている。メディアとしても売る以上、音楽的にも演劇的にも「お金を取れる」に相応しい物でなければならない。プロの実力が問われるのだから、ある意味当然だ。
出演者の中に見つけた日本人、大田原瑶さん。
イタリア在住のソプラノ。ネットで検索したら、SNSの発信もやっていて、YouTube映像も見つかった。長年の海外生活の経験に基づき、例えば日本人とイタリア人の声の響かせ方の違いとか、なかなか興味深いお話もあった。
(「寝ている時の呼吸やいびきからして違う」なんて紹介しつつ、「やだぁ、ちょっと、生々しい・・」と、自分で言って自分で照れ笑いしていたのは、おもろかった(笑)。)
今回の出演は、決して主役ではないが、奮闘していた。
彼女もまた、歌もさることながら、演技が上手い。外国人の中にいても、すんなりとハマっている。海外でずっと勝負しながら身に備わった技なのだろう。