ミュンヘンでの「パルジファル」を鑑賞し終え、次の公演は2日後のバイロイト。ということで、本日と明日は鑑賞は無し。観光に専念することにした。
訪れたのが、ミュンヘンと同じバイエルン州に属しているレーゲンスブルク。中世の美しい街並みが残る歴史的な古都で、世界遺産にも登録されている。
2度目の訪問。前回は随分と昔、ミュンヘンからの日帰り観光だった。今回は、ここに1泊滞在する。
この街には劇場もあり、オペラも年に何本か制作している。かつて、指揮者の阪哲朗さんがここの音楽総監督を務めていたことがある。タイミングが合えば、もちろん公演を目掛けて訪れたいが、残念ながらそうしたチャンスに巡り逢っていない。
だが、オペラがなくても、観光だけでも是非訪れたい、一見の価値がある素敵な街だ。
ということで、写真をぜひご覧あれ。ドナウ川を渡ったところから眺める街並みの景観は、思わず息を呑む。これぞ世界遺産。
川に掛かる橋は、ドイツ最古の石橋だとか。
レーゲンスブルクのシンボル、ザンクト・ペーター聖堂。
2つ尖塔のうち1つは改修工事中であった。ヨーロッパの教会って、いつも工事中のイメージ。
レーゲンスブルクは、ドナウ川を使った交易の拠点として旧ローマ帝国の時代から繁栄を築いてきた。神聖ローマ帝国の時代にはここで帝国議会が開催されていて、その議場をガイドツアーで見学することができる。
次に、市内を出て、バスで郊外に向かう。
目指すは「ヴァルハラ」。
ワーグナーの「ニーベルングの指環」にも登場する神々の居城ヴァルハラ。
ワーグナーの場合、指環伝説が北欧の神話に由来しており、レーゲンスブルクの建物との直接的関連性はおそらく無いと思うのだが(詳細は不明)、とにかくヴァルハラという名前の建造物がここに実在する。バイエルン国王ルートヴィヒ1世によって建設されたとのこと。
ドナウ川畔の丘の上に建っているため、レーゲンスブルクからドナウ川観光船で向かうのも一興だが、船の本数も限られているし、所要時間もかかるので、手っ取り早く行きたいのなら、バスが良いと思う。街の中心から約30分。
ただし、気を付けよう。ガイドブック「地球の歩き方」や、その他ネット情報でも、「5番線バスで」としか書いていないが、同じ5番線でも、そのバスがどこまで行くか、つまり終点がどこの停留所なのかで、複雑に分かれている。5番バスに乗れば、すべてヴァルハラに着くとは限らないのだ。
手っ取り早く、バスの運転手に尋ねるというのもいいだろう。
あるいはこういう時、威力を発揮するのがスマホアプリ「Googleマップ」のナビゲーションだ。
きちんと「◯時◯分の◯◯行きに乗るように」と、案内が表示される。文明の利器は、絶対に使った方がいい。
前回に訪れた際は、場所もよく分からず、どこの停留所で下車してよいのかも分からず、バスの運転手さんに「ヴァルハラに行きたいので、最寄りの停留所に着いたら、声を掛けてもらえますか?」と頼んだ。
そうしたら、その運転手さん、バス停ではなく、神殿の真下にある入口付近で車を停め、私一人を特別に降ろしてくれた。そういう親切、好きだなあー。
今回は、ちゃんとバス停で降りたのだが、神殿まで結構距離があった。また、丘の上に建っているので、上りの道がキツかった。年取ってるからなぁ・・。
ということで、到着しました、ヴァルハラ神殿。私の脳内は、もう「指環」の神々のライトモチーフ旋律が鳴りまくっている!
神殿内の入場見学は有料4.5ユーロ。内部は歴史上の偉人が祀られ、その胸像がずらりと並んでいる。皇帝、国王、哲学者、作家、画家、音楽家などなど。
音楽家では、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、モーツァルト、シューベルト、ブルックナー、R・シュトラウスなど、ドイツ・オーストリア系で名が知れている音楽家は、一通り揃っている。
そしてもちろん、ワーグナー様も。バッハと並んでいた。
神殿前から望むドナウ川の眺めも良い。
上に書いたとおり「指環」との直接的な関連が無かったとしても、やっぱりオペラファン、とりわけワグネリアンにとっては、特別な感情が沸き起こる「聖地」みたいな場所と言っていいだろう。