2023年5月21日 マーラー・フェスティバル Ⅱ (会場:ゲヴァントハウス)
指揮 ロバート・トレヴィーノ
管弦楽 バーミンガム市交響楽団
マーラー 交響曲第10番(クック補筆版)
さすがはマーラー・フェスティバル。未完の第10番をクック補筆による全曲バージョンでやってくれたのは嬉しい。
私はこのクック補筆版、好きだ。別に「マーラー自身が作曲したオリジナルではないから」といって、障り物に触れるみたいに扱う必要は全くないと思う。なぜなら、これはこれで一つの作品として立派に完成しているからだ。それに、クックは良い仕事をしている。予備知識なしに作品を聴いたら、マーラーのオリジナルだと言われて納得してしまう人もきっといるだろう。
そのデリック・クックがイギリス人だからだろうか、この作品を演奏するためにフェスティバルから招聘されたのは、同国のバーミンガム市響。
また、指揮者トレヴィーノは、本来振る予定だった首席客演指揮者ミルガ・グラジニーテ・ティーラから変更となった、代替指揮者。
メキシコ系アメリカ人。ファーストネームを「ロベルト」と表記するのを見かけたことがあり、確かにラテン系だからそれで合っているかもしれないが、アメリカ人なので、ロバートの方がしっくり来るだろう。
日本にも来たことがあり、N響や大阪フィルを振ったらしい。私自身は初めて聴く指揮者だ。
そのトレヴィーノであるが、代替とは思えないくらいタクトに揺るぎがなく、パワーが漲っていて、音を豊かに鳴り響かせる。
以前にこの曲を振った経験があるからなのか(知らんけど)、それとも代わりであろうが指揮者ならこれくらい振れて当然なのか、いずれにしても自信に溢れ、説得力を伴った圧倒的な演奏だ。
客席の反応も上々。スタンディングオベーションも見られ、指揮者も、オーケストラも、そして招聘したフェスティバル側も、胸を撫で下ろしたことだろう。
ところで、バーミンガム市響はこの後、日本に来ることになっている。指揮者はヤマカズさん。
ヤマカズさんは今年4月からグラジニーテ・ティーラの後任として首席指揮者(兼アーティスティック・アドバイザー)に就任したので、来日公演は凱旋となり、日本のファンにとっては望ましい形だろう。
欲を言えば、ここライプツィヒでヤマカズさんの勇姿を見たかった。
彼は確か日本にいたんだよね。スケジュール的に無理だったか。仕方がない。
逆に、いつかトレヴィーノがまた日本で指揮する機会を見つけた際には、是非足を運びたいと思った。