クラシック、オペラの粋を極める!

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2022/10/21 N響 C定期

2022年10月21日   NHK交響楽団 C定期演奏会   NHKホール
指揮  ヘルベルト・ブロムシュテット
シューベルト  交響曲第1番、第6番


何だか数日前のマーラー公演よりも、爺の足取りが少しだけ軽くなっていたような気がする。
前回の時は、ステージの入退場が本当にしんどそうに見えた。コンサートマスターの手を借りての入退場は変わらなかったが、今回、しっかりと自分の足で歩いていたように見えた。
気のせいなのかはわからないけど、良い兆候だ。

そして、弱っているのは足だけで、手と頭の中の方は相変わらず指揮者のそれであることも明確だ。音楽の進行、テンポ、リズム、強弱といったものは、すべて指揮者が提示し、導いている。
これは普通なら指揮者にとって当たり前のことだろうが、95歳の老巨匠ともなれば、オーケストラに泰然として委ね、睨みを効かせながら監視だけしていれば、それだけでも音楽は十分に成立するだろう。
でも、ブロムシュテットは、それをしない。
きっと、あくまでも自分が主導したいのだと思う。
観客の側からの見た目だけなら優しそうな好々爺だが、音楽を聴けば、生真面目な頑固さがはっきり伺える。これぞブロムシュテット

作品自体がシンプルな古典様式だからだと思うが、輪郭がくっきりと整えられている。アクセントや強弱記号は、楽譜の指示どおりであることに厳格。質実でありながら、語り口が自然体なのは、やはり円熟の極みという一言に尽きるだろう。


今回の来日では、私はAプロとCプロの2公演を聴いて、これでおしまい。普通なら「年齢的にもうこれが最後かも」と思ってしまってもおかしくないが、この日の演奏なら、「また来年」というのもあながち不可能ではない気がする。
なんたって常人の域を超越した奇跡の指揮者ですから。
じゃ、そういうことで、また来年! くれぐれもお元気で。