クラシック、オペラの粋を極める!

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2022/10/1 C・プレガルディエン&M・ゲース 歌曲リサイタル

2022年10月1日   クリストフ・プレガルディエン&ミヒャエル・ゲース 歌曲リサイタル   トッパンホール
トッパンホール22周年バースデーコンサート  歌曲の森~詩と音楽~第25篇
クリストフ・プレガルディエン(テノール)、ミヒャエル・ギース(ピアノ)
ベートーヴェン  連作歌曲「遙かなる恋人に寄す」
ブラームス  歌曲集
シューベルト  白鳥の歌


ドイツ・リートや、受難曲におけるエヴァンゲリスト(福音史家)の第一人者として名高い、クリストフ・プレガルディエン。トッパンホールはこの名歌手に早くから目を付けていて、ホール独自企画の主催公演にかなり前から定期的に招聘し、シリーズ化させている。このため来日回数も多い。根強いファンもきっと多いとみる。

ところが、私はプレガルディエンを聴くのは今回初めてであった。

かねてより「聴いてみたい」「聴いておくべきだ」とは思っていたのだが・・。

理由は単純で、歌曲というジャンルが、嫌いというわけではないものの、あまり食指が動かないのである。

なんか、「オペラの方が面白い」と思っちゃうんだよねー。
歌曲はなんか「堅い」「真面目」ってイメージなんだよねー。

そうなると、歌曲を主戦場としている歌手のリサイタルに足が遠のいてしまうのは、自然な流れなのである。

息子のユリアンの方は、オペラの方で何度か聴いているのだが・・。


今回、オロペサ&サルシのリサイタル公演から、次に行く予定のロンドン響まで、少し間が開くことから、埋め合わせで「ちょうどいいや」と思い、チケットを買った。
ちなみに、今回の来日公演では、「シューベルト三大歌曲」シリーズとして、あと2回、「水車屋の美しい娘」「冬の旅」のリサイタルが予定されているが、私がチケットを買ったのは本公演のみ。


いや、素晴らしい演奏会だった。行ってよかった。
プレガルディエン、御年66歳だそうだが、本当にいい感じで円熟していて、歌曲の魅力を余すところなくたっぷりと伝えてくれた。

とにかく歌が優しい。決して声を張り上げない。その必要がないのだろう。語るかのように、読んで聴かせるかのように、言葉を、詩を、音符や旋律に乗せていく。音楽からはプレガルディエンの人柄が滲み出ていて、「豊かな人生というのは、こういうことなんだな」としみじみ感じ入った。

伴奏のゲースも、歌に寄り添う間合いが絶品だ。決して表に出しゃばってこないにもかかわらず、ピアノの存在を常に意識させている。長年コンビを組んできた阿吽の呼吸なのだろう。


シューベルトの歌曲を大いに堪能したが、ここで歌曲の魅力に一気に開眼し、これから積極的に聴いていこうとなるかというと、そこらへんは何とも言えない。
あくまでもプレガルディエンとゲースの名人芸が素晴らしかったわけで。

バッハのマタイやヨハネの受難曲で、プレガルディエンが歌うエヴァンゲリストの公演があったら、今度こそ逃さず行きたいところだが・・・もうその機会を望むのは難しいかな。