緊急事態宣言が解除になり、その後の感染者数や重症者数も落ち着きを見せていて、とりあえずは喜ばしい今日この頃。
なのに、コンサート会場では相変わらず終演後の時間差退場措置を継続していて、面倒くさい。
関係者からすれば、ここで油断して感染対策を緩めてしまい、クラスターが発生したら、ここまでの努力と苦労が水の泡。社会全体が「もう大丈夫」となるまでは、まだまだ辛抱、慎重に、というところなのだろう。
我々国民の意識も、程度の差こそあれ、概ね同じような感じだ。
それが証拠に、街を歩けば、マスク着用率は依然としてほぼ100%。
コンサート会場では、「ブラヴォーなどの掛け声はお控えください」の指示を律儀に守っている。
Jリーグ試合のTV中継を見ても、サポーターは声を上げずに、手拍子のみで後押ししようとしている。
すごいよな、日本人は。
なんだかんだ言って、やっぱ真面目なんだよね。この国民気質は世界でも希少価値だろう。
翻って、欧米。
サッカー、ラグビー、MLBやNFLの中継を見ると、もう「コロナなんかどこ吹く風」という感じだ。
マスクなんか誰も付けてないし(スペインでは着用が求められているみたいだが、みんな顎に引っ掛けてるだけ)、大声のチャントで堂々と応援している。
7月に開催されたバイロイト音楽祭の中継(さまよえるオランダ人)でも、カーテンコールで盛んにブラヴォーが飛んでいる様子が見られた。
要するに、良くも悪くも「国民性」ということ。
日本人からしてみれば、眉をひそめるかもしれないし、「だから感染拡大に歯止めがかからないんだよ」と皮肉の一言も言いたくなるかもしれない。
だが、私なんかは、決して褒め称えはしないが、「大したもんだよな、こいつら潔いよな」と、別の意味で感心してしまうのだ。
連中だって、人がたくさん集まる場所で大声を出せば感染のリスクが高まることくらい、きっと頭では理解しているんだと思う。
だが、ひとたび愛するチームを応援する時、素晴らしい演奏に感動した時、奴らは黙っていられない。気概を持って、覚悟を持って、決然と声を出す。それで感染してしまうのなら結構、上等じゃねえか。オレたちは怖がらないぞ。負けないぞ。
そういう連中、そういう民族気質なのだ。
私は、その気概と覚悟に、良いか悪いかは別にして、なんだか感心してしまうわけである。
で、彼ら自身はあまり意識していないかもしれないが、結果、伝統や文化が継承され、なおかつ民族の誇りが保たれていくのだ。
ルールやマナーを守ることは大事。
また、ルールやマナーをきちんと守る日本人は素晴らしい。
感染対策、日本はもしかしたら、この先も世界に比べてうまくいくかもしれない。
一方で、コンサート会場でのブラヴォーの歓声は、まだまだ当分聞けない。圧倒的な大声援に包まれながら観戦するスポーツの醍醐味は、まだまだ当分味わえない。
いつか元に戻るのだろうか。消えていってしまうなんてことはないだろうか・・・。
これからもこの徹底がずっと継続される場合、「だって感染対策なんだから、仕方がない」とみんな黙って従い続けるのだろうか。
こうした一抹の不安を抱く時、私は欧米連中をつい羨ましいと思ってしまう。