クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

クラシカ・ジャパン

つい先日、総理大臣の息子が在籍している映像配給会社「東北新社」が、放送事業を管轄している総務省の幹部連中を接待していたことが発覚し、違法な官民癒着ではないかという疑惑が世間を騒がせた。緊急事態宣言の最中、霞が関首相官邸に激震が走り、現政権が一瞬グラリと揺らいだ。
にわかに注目を集めてしまった東北新社だが、なんとこの会社が提供している配給の中に、クラシック音楽系の専門コンテンツ「クラシカ・ジャパン・プラス」が含まれている。

で、今回の騒動とはまったく関係のないところで、このコンテンツが今月末、3月31日をもってひっそりと終了することが発表された。

疑惑問題はとりあえず置いておくとしよう。「クラシカ・ジャパン・プラス」の話だ。

元々、CS放送スカパーの番組「クラシカ・ジャパン」が前身。クラシック音楽専門チャンネルの老舗で、私も受信契約し、長きにわたって視聴していた。
ところが、昨年10月末にテレビ放送を終了させ、インターネットによる有料動画配信サービスに切り替えるという連絡を受け取った。一抹の寂しさを感じながら、令和2年8月、解約手続きを行った。その切り替えからわずか半年で、すべてのサービスに終止符を打ったというわけだ。

開局が1998年というクラシカ・ジャパン。20年以上にわたりクラシック番組を発信し続けたチャンネルが終わってしまった。なんだか時代の一区切りを痛感してしまう。

私がこの番組を長らく視聴してきた目的は、「オペラ」だった。
コンサート系、つまり聴くだけの演奏なら、別に同番組の放送を待たなくても、CDでもいいし、You tubeで検索すればいくらでも見つかって、それらを無料で視聴することも出来る。
これに対し、オペラの場合、「日本語字幕が付いた上演の放映」というのが最大のポイントだった。これは、You tubeにも、一部の輸入物市販映像ソフトにも、完備していない利点だった。
さらに、テレビ放送であれば、録画して円盤ディスクにダビングして保存することが出来るというのも、大きかった。
(映像を大切に保存したいのに、機械の故障やチューナー等の機種変更によっていちいち初期化フォーマットが必要になるHDDは、私は基本的に信用が置けない。)

そもそもテレビ放送からネット動画配信への切り替えは、「危険な兆候」に見えた。
クラシック音楽のコンテンツは、ネットや端末で観るもんじゃない」という問題もさることながら、ネットに移行した瞬間からYou tubeと同じ土俵で勝負する羽目になる。「日本語字幕に対応」などというメリットも、「無料」の勢いにかき消され、やがて一気に押し潰される。有料配信サービスに勝ち目はない。そんなことは自明の理だった。
つまり、舵を切った時点で、もう終焉ははっきり見えていたと言っていい。

今のご時世、CDやDVDなどのソフト販売も、ジリ貧下降が続く。
唯一の頼みの綱である会場でのライブ鑑賞にしても、コロナに強烈なパンチを見舞われた。

いつ、どんな時代になっても、クラシック音楽そのものが廃れることはないと思うが・・・楽しみ方、鑑賞の仕方は、じわじわと変化を余儀なくされている。
そして、その行き着く先はよく分からず、一寸先は闇・・・・。