クラシック、オペラの粋を極める!

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2020/12/23 庄司紗矢香 ヴィキングル・オラフソン デュオリサイタル

2020年12月23日   庄司紗矢香 ヴィキングル・オラフソン デュオリサイタル   サントリーホール
バッハ  ヴァイオリン・ソナタ第5番
バルトーク  ヴァイオリン・ソナタ第1番
プロコフィエフ  5つのメロディ
ブラームス  ヴァイオリン・ソナタ第2番


「日本人最高のヴァイオリニストは?」というアンケートの集計結果があるとしよう。
好みも含め、一つ一つの意見は様々だと思うが、集計してまとめた結果であれば、おそらく第一位はきっと五嶋みどりさんになるだろう。

でもね。五嶋みどりさんは、確かに日本で日本人の両親から生まれたけど、今はアメリカ国籍。
つまりアメリカ人です。
もしオリンピックに出場する場合には、彼女はアメリカ代表になるんだぜ。
それでもいいのか、皆の衆。

ま、オリンピック、出場しないか・・・。


栄えある第一位が資格審査でちょっと怪しくなってしまったが、五嶋みどりの次に堂々ランクインするのは、間違いなく庄司紗矢香ちゃんだ。

そういう紗矢香ちゃんも、日本に住んでいないけど・・ま、いいでしょう。

私に言わせれば、そもそも「日本人」という枠をはめること自体に、ぜんぜん意味が無い。
別に日本人だろうが日本人じゃなかろうが、そんなことはどうだっていい。
五嶋みどり庄司紗矢香も、二人とも世界屈指のヴァイオリニスト。それでいいのである。

「紗矢香ちゃん」なんて“ちゃん”付けしちゃったけど、Wikiで御年を調べてみたら、もう37歳なんだってさ。ひぇー。イメージはまだまだ20代だけどな。


さて、彼女のリサイタルを久しぶりに聴いた。彼女の演奏は、これまでオーケストラの共演によるコンチェルトが圧倒的に多い。海外からの来日が困難な昨今の情勢もあり、なおさら貴重な機会だ。

コンチェルトのソリストとしてのイメージは「華奢な身体から放たれる風格やオーラ」だったが、この日のリサイタルで捉えたイメージは、極限的な繊細さであった。音を外に向けて飛ばすのではなく、内に向けて旋律を大切に紡いでいる感じ。
これはなかなか興味深い発見だった。

やはりコンチェルトとリサイタルとではアプローチが変わってくるということだろうか。

おそらく、共演したピアニスト、オラフソンとのコラボレーションが関係しているのだろう。
お互い丁々発止で主張し合うのではなく、全幅の信頼を寄せた上で、ひたすら自分の演奏に集中していたように見えた。

そのオラフソンも、初めて聴いたが、素晴らしいピアニストだと思った。
この日のプログラムはデュオのための作品なわけだが、そのままピアノパートだけの演奏でも、コンサートとして十分に成立したのではないか。それくらい音楽的だった。